ラストソング

□第一話
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―準備はいいか、



――野郎ども。




第一話「出会い」




西への道、荒野を走るジープに4人の個性的な者たちがいる。
生と死が共に輝くこの世界に、各々何かを背負い西へと旅をする。
そんな彼らがこの道を通るのは偶然か。それとも必然だったのか。


それは水面から見下ろしている観音菩薩でさえ知りはしない。








「いやぁ、代わり映えしませんね」

流れ行く景色に八戒がいつもの柔和な笑みで助手席で煙草を吹かす三蔵に朗らかに言った。


「…この道で合っているんだろうな?」


眉間の皺は顔の一部となっている三蔵が、さらにそれを深めていう。


「実はちょっと自信なくなってきました」


「はぁ?!」

その答えに誰よりも早く反応したのは悟浄だ。
こちらは煙草を切らしているので吸ってはいない。

「これだけ走ればそろそろ町が見えるはずなんですが…」


見えませんね。
八戒の言葉に「酒。煙草…はぁ」と肩を落とす悟浄に三蔵は「計画性がないからだろ」とばっさり切り捨てた。
悔しかったのか三蔵の煙草を霞めとり一息。



「ぷはー。…まずいな」



カチャッ



「ちょっ、その方向はあたるって!」


三蔵が銃の安全装置を外す音がやけにリアルだ。

「なー」


「どうしたんですか?悟空」


今まで珍しく黙っていた悟空の発言に三蔵と悟浄の動きがフイに止まる。


「―あれ、なんだ?」



ずいぶんと前方にある一点を指し悟空は目を見開いた。
常人離れした悟空の目にはそれが何かもうわかったのだ。


自分の指す方へ目を凝らす三人に言う。


「人!人が倒れてる!」




この出会いは必要だったのか。
この荒野を迷ったのが必然だというのなら、それは運命と呼ぶだろう。
偶然だとしてもまた、それを運命と呼ぶだろう。
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