□頭
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うちのボスと少女は前世で恋人同士だったらしいのよ。


少女はヴァリアーのボス、XANXUSに拾われてやってきた。それも頭だけ塵箱に置いてだ(彼は少女の口煩い頭が大嫌いだ)。そしてやけに親しい。ウチのボス、XANXUSには前世の記憶がある。少女にも記憶があるらしい。そして彼女等はなんとまあ奇妙な事に恋人同士だったとのこと。今の姿を見るとそんな事あるはずが無いと思うが書物に記されているのだ。VongolaU世セコーンドがXANXUSの前世らしく、少女はそのセコーンドの愛しい妻。証拠はお互いの記憶。記憶など頼りにならないのだが、互いを嫌う二人が顔を歪めながら本当だと言うのだからそれは真実でしかない。前世では熱く愛し合った仲だというのになぜこんなにも仲が悪いのだろうか。それは皆が不思議でならない。


「ザンザス!貴方いい加減私を遠くに飛ばすの止めてくださる?!」
「その口を縫っていいというのならな」
「んまあ!本当忌々しい男だわ!ああ、セコーンドの時はまだ可愛げがあったのに!私にべったりで毎日のように熱いキスを送ってくれたわ!」
「お前にじゃねぇ。あの女にだ」
「前世も今の私に変わりは無いのよ!」
「お前はただの気狂いだ」


XANXUSは頭に響く少女の声に眉を寄せ、グラスを頭に向かって投げつけた。グラスは少女の頭に重い音と衝撃を残して床に落ちる。痛みに顔を歪めた少女は顔を手で覆い肩を振るわせた。泣いてしまうのだろうか。そういえば少女の泣き顔を見たことが無い。たとえXANXUSにどんな酷い事をされようと、涙を流した事がないのだ。ああ、初めて涙を見ることが出来るのだろうか。その場に居た幹部の皆が少女を見つめた。だが、皆の期待を裏切り少女は涙など浮かべずXANXUSを睨みつけ凄まじい殺気を送った。そんな殺気を物ともせず、その倍はある殺気を少女に送りつける。皆はその殺気合戦を冷や汗を流しながら見守る。ここで僅かでも動こうものなら二人からあの殺気を受ける事になるのだ。それは勘弁して欲しい。

「…貴方、本当に嫌な人ね…」
「そっくりそのまま返す」
「嫌い、大嫌いよ!」

少女の殺気が膨れ上がったと同時に、空気など読めない時計が3時を知らせた。少女はぴたりと殺気を止めると時計を見て、まあ!と部屋を出て行った。3時のおやつを食べに行ったのだ。少女は必ず何があっても3時にはおやつを食べると決めているのだ。それは少女のポリシーであり何よりも大切な時間。皆が脱力するように力を抜くと、XANXUSがやり場の無い怒りをスクアーロにぶつけだした。




(二人が甘い展開になるなんて)(絶対ありえねー)

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