*些細な幸せ*
「はぁ・・・」
今日何度目になるかも解らないため息を、イーピンは鏡の前でついていた。先日の仕事でつけられた口元の傷。これを、今日仕事から帰ってくる彼が見たらどんな反応をするだろう?






「ただいま。」
嫌でも進むのが時間なんだと改めて実感した。予定より少し早く帰って来た雲雀は、ボス・沢田綱吉への報告を早々に切り上げこの部屋に帰って来た。愛しいイーピンに一刻も早く会いたくて。
「おかえりなさい、雲雀さん。」
とびっきりの笑顔で迎えられたものの、雲雀はすぐに異変に気付いた。
「イーピン、口誰にやられたの?」
有無を言わさぬ言い方に、少し言葉が詰まったイーピンだったが
「えぇと、この前の仕事で少し失敗しちゃって・・・」
「殴られたの?」
「・・・はい。」
そう言うが早いか雲雀は自分の武器を手に殺気をみなぎらせ
「どこのファミリー?」
と静かに尋ねてきた。きっと止めないと必ず死人は出るだろう。そんな空気を雲雀は纏っていた。
「待ってください、雲雀さん!!あの、その人もういないし、ファミリーも大体壊したのでもう大丈夫ですから!!」
「大体なんでしょ?完璧に壊してあげるよ。」
「い、いいですよ!それにそんな事したら、沢田さんが困っちゃいます!」
「沢田綱吉の都合なんて知らないよ。僕のイーピンに手を出したんだから、死ぬ位はしてもらわないと。」
自分を所有物扱いされて少し恥ずかしかったが、雲雀が興味・好意をもつ人間に自分がしっかり入っているんだと思うとイーピンは堪らなく嬉しかった。しかし、今のままでは素直に喜んでいる場合ではない。雲雀を止めなければならないのだ。
「でも雲雀さんッ!」
「大体イーピンを傷物にしていいのは僕だけなんだし。」
(・・・この人今さらりとすごい事言ったよ。)
「気持ちだけでうれしいですから!!側にいてください!」
ぴたりと雲雀の動きがとまった。
「僕に側に居てほしいの?イーピン。」
まっすぐ見つめられて、勢いで本音を言ってしまった事をイーピンは後悔した。
「どうなの?聞いてるんだけど。」
「えぇと・・・」
「イーピン。」
知らぬ間に壁に追い詰められていたことにも、じりじりと近寄ってくる、無駄と言っても良いほど整った顔にもイーピンは慌てていた。
「ぅ、居て・・・ほしい、です」
声を小さくしながら、顔を朱に染めながらも本音を言ったご褒美とでも言うように雲雀はイーピンに甘ったるいキスをした。何度も何度も。そのうち深くなり、イーピンが苦しくなって肩をつかむまで。
「イーピン、何してほしいの?今なら聞いてあげるけど。」
口にするのが恥ずかしいらしく、俯いて拗ねたように自分に抱き着いてくるイーピンを見て、雲雀は満足そうに笑った。




二人とも、最も身近で最も大切な幸せを感じながら。







・あとがき・
おもいついたらもう携帯開いてこれ書いてました。思い付いたきっかけは自分ですね。私口元に殴られたような傷があるんですよ。それを見てきっと雲雀さんとかきっと相手を殺しに行くんだろうなとか思ってたら、書きたくて仕様がなくなってこそこそ整った打ってます。けど、イーピンちゃん、可愛いなぁ(>_<)
あ、親が巡回にきたのでさようなら!! 嘩楠

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