詩2

□昔話
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私は哀しい恋の色を知る
貴方に声を伝えられない
辛さを知る


海の中静かに
歌を歌い
その歌は波に乗って
船乗り達の元へ
届けば
心を犯し
船は大きな音を
立てて崩れる

今一度と声をあげてみても
それは悲痛な死者への餞け

私は哀しい恋の色を知る
まだ見ぬ貴方への歌を歌う
いつかは届くとこの歌を
誰とは知らぬ愛しき人へ


月を見上げれば
明るく
近くの船からは
笑い声が聞こえる
宴の為にと
私が歌えば
嵐が
訪れてしまった

その嵐は恋の始まりなの
報われない恋が始まる…


歌を歌えば気付くだろうか
あの人は私を目に焼き付けて
その腕から離さないで
抱きしめて
甘い甘い
キスの雨を
降らせるだろうか


お願い届いて心を犯す歌よ
貴方への歌甘美なる声
届いた先に何が待ち受けようと
私の恋を終わらせないで

波が掻き消してしまう
全ては泡となっていく
うたかたの恋夢見たのよ
私は泡となり
貴方は美しいままで
そう恋は終わる
浜に打ち付ける波の
音と共に消えていく




 
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