深海の姫君

□少女に関する考察
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side jafar.


シンが七つ目の迷宮を攻略した後、共にいた少女──ルリア。
最初はまたシンの失態の被害者が出たのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。

彼女は、自身を異世界からやってきた魔女だと言った。


イギリスという国。
ロンドンという地名。
魔女と呼ばれる存在。

全て聞いたこともないもので、シンと彼女の迷宮の中での体験を合わせると、異世界という話を信じることが、この事態を説明する最も有力な説と言えた。
しかし、シンや国の為には、不審なものは徹底して疑い、その真実を明らかにしなければならない。
それが私の仕事。

彼女に関しても、それは例外ではない。


彼女が魔法を使えることは、ヤムライハとの手合わせを見ていたシンから聞いた。
自他共に認める天才魔導士・ヤムライハのボルグを破壊し、武器となる杖を奪っての勝利。
ヤムライハから聞いた話では、聞いたことのない呪文を使い、この世界の魔導士たちが使うものとは性質の異なる魔法が使えるようだった。

彼女の力を手に入れたことは、アル・サーメンとの戦いにおいて、大きな意味を持つ。
この世界の誰もが持ち得ない力を、我々が得たということでもある。
ただしそれは、彼女がシンドリアの食客として、シンやこの国の為に戦ってくれるのならという前提の元でだが。

また彼女の魔法は、戦闘以外でも大いに発揮されていた。
荷物の運搬、片付けから、掃除、洗濯、料理などの家事───。
各言う私も、書類の運搬や整理を手伝ってもらっている。

加えて、彼女は医務室にも出入りしているようだった。
魔法薬と呼ばれる彼女の作る薬は、見た目や味にかなりの問題があるものの、その効果は凄まじく、風邪も、骨折も、一日で治ってしまう。
彼女が来てから、この国の病人やけが人の数が減り、彼女に対する国民の信頼や人望は上がるばかりである。





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