『もし私が死んでしまっても、泣かないでくださいね』
彼女がそう云ったのはいつのことだろう。
もうずっと、遠い昔の事のように思う。
その時、自分はなんて答えただろうか。
いつものように、他愛ないことだと思った?
そんなことさせないと、憤慨した?
もう思い出せない。
ただわかるのは。
右手に握った彼女の体温がもうないということ。
今、隣にいるのは誰だろう。
漠然とした、空虚。
あの太陽のような笑顔で名前を呼んでくれる彼女はーーー
「ああ、そっか。もういない、んだ」
口に出して、初めて気づく。
さみしい、かなしい、なきたい、さけびたい。
心の中にいろんな感情が渦巻くのに、
それを何一つ表に出せそうにない自分を呪う。
泣かないでください、なんて。
言わなくても大丈夫だったよ。
あんたがいなくなってしまっておれの全ては渇いてしまったみたいだ。
こんなに悲しいのに、どうしてかな、涙枯れたまま
(泣いてしまったら楽になれるのかな)
おしまい?
だぶあつ/キリエル。ぱられるしねた
お題提供>>確かに恋だった