中編
□クリスマス小説(完)
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「………どうしたの?」
昼の休憩中でザワザワと騒がしい教室の中。
珍しい幼なじみの苛々としたような姿に、つい太陽は声をかけていた。
「……何が?」
返事は返したが、堤は苛々と舌打ちをし太陽に視線すら向けない。
こんなに苛々している堤って、初めてかも……
不思議そうな太陽の視線に気付いた堤は、チラリと視線を向けた。
だが、すぐにバツが悪そうに視線をそらす。
「何でもない……」
あきらかに何かを隠してます、と言わんばかりの堤の様子に太陽は首を傾げた。
思い付く理由は一つだけ
菜月先輩と喧嘩でもしたのかな……?
しかしすぐに違う、と思い直す。
朝、ラブラブで一緒に当校してたし……
でも…
僕なんかが聞いてもいいのかな……
……でも聞きたい…
ジー、っと堤を見つめているとその視線に気付き、堤は居心地悪そうに席を立ち教室から出て行こうとした。
「あっ!ちょっと待ってよ堤!もうすぐ授業始まるよ!」
慌てて追い掛ければ、堤からサボると呟きが聞こえてくる。
「えっ!サボるって…」
ヤバイよね……
けどあんな堤を一人に出来ないし……
しばらく悩んだが、太陽はすでに教室から出て姿の見えなくなった堤を慌てて追い掛けた。
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