短編集

□現代パロディ:コラボ編
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作:僕


体育がある今日という日に限って、雲一つ見当たらない蒼天が小さな社会、――一般的に学校と呼ばれるこの小規模な世界を見下ろしていた。
季節は九月半(なか)ばという、そろそろ秋風に肩を震わす時期であるはずであると思うのだが、温暖化の進行するこの日本では、ギラつく太陽が真夏宜しく気温を上昇させている。
蝉までまだ耳障りに、短かい生涯をまっとうする様に、至極五月蝿く鳴き喚いているくらいだ。
気分まで真夏の八月にトリップしてしまいそうになる。
こういう場合、建物の中よりわりと風の通るの外の日陰の方が涼しいものであるのだが、生憎自分は体育館という、密閉に近いサウナの中での体育であるのだ。
おまけに無風ときている。
まだ外のテニスやサッカーの方がよかったと、今更ながらに思う。
真夏の体育館での体育など、自殺行為に極めて近いのだ。
例えるなら、バンジージャンプの命綱を首に巻いて飛び降りるくらい。

まぁ上記は冗談としてもだ、二学期である今の体育授業は選択式であり、浅はかにも自分は得意であるマット運動を選んでしまったのだった。
体育館であるという事を考慮すべきだったと、後から後から悔む思いが熱と共に競り上がってくる。
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