短編集

□フリー配布小説
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簡潔に言えば、レクテルからして、外見は兎も角、自分が子供扱いをされた様で嫌だったという話し。
いつまでたってもルナの包容力に勝る事はできず、最後には甘えてしまう自分がいるのを、レクテル自身、自覚しているからでもあり、その事に関しては敏感なのだ。
――すねてしまうのはもっと〃子供〃だと知っていても。

ともあれ、ルナ視点で言えば少しばり機嫌を損ねてしまったのは事実。
ルナは苦笑しながらレクテルに歩み寄り、彼の自分よりも低い位置にある黄金(こがね)の双眸を、ちょこんとしゃがんで覗き込んだ。
レクテルが身長の高さを気にしていた事を、ルナは知っている。見下げられるのは好きではないように見えるのだ。
鈍感なルナでもそれは悟っていた。
だからともいえるが、こうやってしゃがんだのには、もう一つ理由がある。
「ねぇレクテル?」
優しい声音で呼び、彼の視線を絡め取る。
カチリと視線が繋がると、仏教面をされるかと思いきや、しかしレクテルはボッと白皙(はくせき)たる頬に朱を灯したのだった。
赧顔(たんがん)しているのは、子供扱いされたのに恥じての事なのだろう。と、ルナは的外れにも思った。
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