泉を落とせ!!

□僕たちは
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キィン…!!


「ナイバッチ!」


バッティングの練習中、思ったより飛んだボールが例の雑草に飛び込んでいった。


「泉くん!ボールも大事に使わないとね!!」


ニッと笑う百枝。
そう言われて大体の予想はついた。


「見つけるの大変だけど、ちょっと探してきて!」


「…うす。」


昨日行ったばかりの雑草の森へ駆け足で向かう。

ガサガサと草を掻き分けてみるがボールらしき物が見つからない。


どうするか、と考えながらまだ探していない場所に視線を向け昨日の場所へと歩みを進める。


昨日の場所に行くフェンスの角を曲がると人影が一つ。


昨日の田島の友達だ。
驚いて目を開きしばらく固まる。


そのとき、オレの後ろからボールが飛んできて、オレも飛び越えていった。


その方向は彼女が座り込んでいる場所でー…、


「危ない!!!」


「え?」


慌てて声を荒げたが間に合うはずもなく、彼女がオレの言葉に反応して顔をあげたとたん、見事頭にボールはぶつかってしまった。


硬球の為、もちろん痛い。


彼女は頭を抱えてうずくまった。
痛いだろうけどきっと痛すぎて声にもならないんだろう。


うずくまっている彼女にかけより、声をかける。


「す、すんません。まさかこんな所に人いるとは思わなくて…大丈夫スか?」


声をかけたと同時に彼女は顔をあげ涙ぐんでいるであろう目をこする。

そして数秒後、彼女は口を開いた。


「あ、いや。大丈夫っス。」


その時初めて目が合う。

やっぱり昨日と同じ人だ。


「…あんた、昨日田島と話してた人じゃね?」


そう尋ねると彼女はオレが覚えていたことに驚いたのかぽかんとした様子で口を開いた。


「は、はい。田島くんの友達…です。」


何故かどもりつつある感じだがオレは返事を返す。


「ごめんな、大丈夫?ボール頭に直撃してたけど。」


「………。」


「?」


「だ、だ大丈夫で、す!!はっ、はい!ボール!」


さっきの間はなんだ。
もしかしてこの人ボールだったって気づいてなかったのか?


勢いよく差し出されたボールを受け取るが頬が緩んでくる。


「……ははっ!おもしれーな!!」


笑い出したオレに彼女は戸惑っているようで、その姿にまた笑えてしまう。


もう少し話をしたい所だが部活中でボールを探しに来た為戻らないといけない。


オレは笑いをなんとか止め、ぽかんとしたままの彼女に礼を言う。


「じゃーな。ボール、サンキュー。」


それだけ言ってオレは走りグラウンドに戻った。













まだ彼女の名前すら知らなかったが、気になる存在となっていた。











(泉ー!オレの飛ばしたボール飛んで来なかった!?)

(…さー。)

(うわー、絶対見つかんねー!!)

(……。)

















****
最後のは水谷です。笑
水谷の飛ばしたボールが主人公に当たったわけで、それを泉が持ち帰りました。

水谷はボールが見つからなかったと思います。
(ひどい雑草の山に入り込んだから。笑)

101009


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