青空は何処まで続く。
□00.prologue
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「逃げたぞ!そっちだ!!」
──それはまだ朝方の事である。
朝靄の出る森の中──そこに怒声が響く。
「殺すな!必ず生け捕りにしろ!!」
「しかし!」
「絶対だ!」
5人程の男が焦りを見せる様子で森を走っていた。
追っているのは一人の少女。
彼らは前方を走っている少女を銃で狙った。
パァン…ッ!!
弾丸は少女に当たる。
少女はその勢いのままバランスを崩して倒れた。
少女はうめきながら耳に喜びの声が聞こえるのを確認した。
「当てたぞ!!」
「よし!早く捕らえろ!!」
彼らは少女の倒れた方に一斉に走り出す──しかし、その場所には何もいなかった。
「い、いなくなっています!」
「何!?さっきそこに…!くそ!逃げられたか!!おい!諦めるな!あっちを探せ!!…ぐ!?」
そう言う声を最後に、彼は倒れた。
残された者は慌てて辺りを見回す。
しかし少女を捉えることもなく倒れていく。
「化け物め…!ぐ!!」
どさっ!
最後の者はそう言って倒れた。
正確に言えば少女が倒したのだが。
彼女は息が荒いまま震えて倒れた彼らを見下ろす。
「…そんな簡単に捕まらないよ。」
そろそろ朝がやって来る。
空が次第に明るくなってきた。
少女は自分の逃げてきた方向を見て驚きで目を見開いた。
彼女の視線の先には炎が轟々と立ち上っている。
少女は絞り出すほどの小さな声で震えて言った。
「…っごめんなさい…!」
その小さな声は空に溶けていった。
少女は空を見上げた。
朝日が出て、うっすらと青空が広がってきた。
真っ青な空が眩しすぎて彼女は目を細める。