そばにいてくれる君へ。

□29.仲直りの仕方
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由妃はベッドに寝そべって一人で考える。


謝ろうと決めたけれどいつも、どうやって仲直りしていたんだろう。



今までの幼なじみ人生の中でケンカなんてした時の方が珍しいけれど――。


そのごく稀なとき、どうしていた?


由妃は目を瞑り昔の記憶を呼び覚まそうとした。














―――Age.5歳




「仲川―、」


「………。」


「仲川おこってるの?」


最初にケンカしたのは、実に子どもらしい理由だった。


勇人にあげようと思っていたお菓子。


違う子が同じ物を渡していたのを見てしまったのだ。

言うなれば、子どもの独占欲。


まだあの頃は勇人と龍一と親たちだけだった世界。


いじけた由妃はあのときお菓子も捨てて、そして一人で怒っていたのだ。



「――ゆうと?」


じっと動かぬまま勇人を知らんぷりしていると、気がつけば勇人の姿は見えなくなっていた。


くるりと見回しても、どんなにキョロキョロとしても勇人はいない。


由妃はうつむいてまたブランコを揺らした。


「ゆ
うとの、ばか。」


ぽそりと吐いた言葉は地面に吸い込まれるように消えた。


「―あ!いた―!仲川――!」


「お―い、仲川―!」


聞こえてきたその声に由妃はぱっと顔を上げる。


ニコニコしながらやって来るのは勇人と龍一。

そして、2人は何故だか真っ白になっている。


ぽかんとして走ってくる2人を見る由妃。


「へへっ!いてよかった!!」


「仲川―いいものあげよ―か!!」


ニコニコわくわく、そんな表情の2人に由妃は首を傾げる。


勇人と龍一は顔を見合わせて「せ―の、」と声を出す。



2人の手から出てきたのは形のいびつなクッキー。


それを見て由妃は顔を2人に向ける。


「仲川もおかしくれたから!」


「おれらでつくったんだ!!」


へへ、と自信満々で言う2人。


真っ白なのは小麦粉が飛んだ跡なのだろう。

顔も洗わず、そのままで由妃のところまで来てくれたのだ。


「でも、ゆうとのおかし、すてちゃったよ…。」


「あるよ!」


ぱっと見ると確
かに由妃のあげたお菓子がそこにあった。


「仲川のくれたおかしだもん!もってるよ!!仲川、ごめんね。」


「…ゆうと、わたしゆうとにさっき“ばか”っていっちゃった…。」


「あはは!いいよ!」


「ごめんね…。りゅ―もありがとう。」


「うん!な、みんなでおかしたべよ―!!」


「「うん!!」」
















――――







「あ―、しょうもないことで怒ってたな―。」


一人で苦笑いする由妃。








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