そばにいてくれる君へ。

□19.その違いは
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ジリリリリ…。


ガシャン。


「………。」




















「おっはよー!!起きてー!!朝だよーっ!」


「…由妃うるさいから…!」

















こんなに静かな朝は久しぶりだった。


毎朝由妃に叩き起こされていたが、やはり今日は来なかった。


昨日、由妃とケンカしたからだ。



























「はよ!」


フェンスをくぐり挨拶をすると、慌てた様子で水谷、花井がやって来た。


「お、おいっ!」


「もしかして…まだ。」


「仲直りはしてないよ。あれからしゃべってないし。」


「…まじで!」


「うん、まじだけど。」


よっぽど驚いたんだろう。



水谷はぽかんと口を開けているし、花井も言葉を発することもできず勇人をみていた。


そんな2人に気づかないふりをして、勇人は着替えに行った。









「ちーよー!!早くーっ!」


「待ってよ由妃!」


慌てて勇人の前を走り去る由妃と千代。

由妃は勇人の方を見ようとはしないし、勇人も視線で追うこともせず、黙々と準備する。


お互いに会話をしようとしない由妃と勇人を見て野球部員たちは顔を青くしながらボソボソと話す。


「お、おいまじでまだケンカしてんの!?」


「だって見ただろ!あいつら別々にグラウンド来たぜ!?」


「あれから話もしてないらしーよ!?」


「絶対今日にはいつも通りだと思ってたのに…。」


「仲川と栄口が話してねーとか気持ち悪っ!」


野球部の昨日の予想では、翌日になれば仲直りしているだろうという軽い考えだったのだ。


しかし、実際今日になると2人はまだ完璧にケンカ中だったわけで。


彼らはわざとらしく距離を空け、その間にもピリピリとした空気を感じさせる2人を離れたところから見ることしかできなかったのだった。







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