そばにいてくれる君へ。
□18.いつもちかくにいる。(4)
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それは、突然だった。
「りゅー、そろそろ帰らない?」
由妃と話をした数日後、
「いや、まだ勝負ついてねーから!」
由妃ならなんとかする、と安心していたー…。
「ねえ、りゅー?もう帰らない?」
「だめだっ!勇人勝ち逃げするつもりかよ!」
「いや、だから…。」
オレたちはジュースを賭けてゲームをしていた。
負けず嫌いの龍一は悔しがって何度もやり直しを要求して、それにオレや友人たちが応えていたが友人たちはオレに任せて帰ってしまった。
教室で談笑していたクラスメートたちも帰ってしまい、気が付けばもうオレたちしか教室にはいなかった。
しんとして、龍一がうなる声だけだった教室にだだだっ!と廊下を走る音、そしてガラッ!!と勢いよく戸が開く音がした。
驚いて2人そろって戸の方を見ると、部活中だったであろうユニホーム姿の篠岡がいた。
篠岡は息を切らせてオレたちを見て、安堵する表情を見せまた緊張した面もちで口を開いた。
「栄口くん!橘くん!!」
「篠岡?どうしたの。」
「まだ部活中だろ?」
龍一が尋ねる。
よく篠岡を見ると、彼女は泣きそうな、それでいて慌てた様子をしていた。
嫌な、予感がした。
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