そばにいてくれる君へ。
□14.それは、寂しさ。
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由妃が走り去った後、ベンチには異様な雰囲気が流れていた。
さっき由妃と言い合い、落ち込んでいる勇人に泉がコップを渡す。
勇人はハッとして泉からコップを受け取る。
「…あ、ありがと。」
「いーぜ。」
一口ドリンクを飲み、そしてまたため息をつく勇人。
泉はあからさまに落ち込んでいる勇人を見る。
「なんかさ、仲川今日ちょっとおかしかったぜ。」
「おかしい?」
「仲川はいつもおかしーじゃん!」
水谷が横から言うと泉もまあな、と同意する。
(由妃が聞いていたら怒りそうな内容だ。)
泉は唸って指を折りながら話しをする。
「いつもの倍ボーっとしてるし、話聞いてねェし、田島には突っ込まねぇし。しかもHR中起きてたんだぜ!?」
「…最初のはともかく最後のはおかしくねぇ?」
花井が呆れながら聞くが泉は首を振る。
「オレ仲川がHR中に起きてんの見たの4、5回目くらいだぜ。」
「まじかよ…。」
「…由妃はHRどうでもいいって思ってる人だからね。」
勇人もそう付け足すと花井は眉を寄せため息をついた。
(HRくらい起きてろよ…とうなだれながら。)
そんな中、水谷がああっ!と声を上げる。
「そうそう!そういえば今日仲川オレの事シカトするんだぜっ!?廊下で会ったのにさ!」
水谷がそう言うが、みんなため息をつく。
そして阿部がサラリと言い放つ。
「いつもじゃねぇか。」
「ええッ!?」
1人でショックを受ける水谷。
泉は呆れたため息を吐きながら、勇人に視線を戻す。
「話ズレたな、とりあえず何かおかしかった。心もいつもと何か違うって言ってたぜ。」
「…そっか、ありがと泉。」
「おう。」
その時田島がああ!と声をあげる。
「そーだっ!!今日の全校集会ん時仲川来なかったじゃん!あの辺からゲンミツにおかしかった!」
「あ、そーいやそうかも。心に話かけられても無反応だったしな。」
「だろっ!?な!ミハシもそう思うよな!」
急に振られた話に三橋はびくっとするが、うなづく。
「な、んかっ元気、なかっ、たよっ!!」
勇人は心の中で考える。
(どうせアレに関することなんだよな。普段の由妃が過呼吸になるわけない。最近はなかったのに、急すぎる。絶対何かあったに決まってるのに…前、話するって約束したのに。)
今より少し昔に交わした約束が脳裏に浮かび、勇人はため息をついた。
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