そばにいてくれる君へ。

□07.プレッシャー(3)
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3回戦、相手は埼玉高校。
絶好調の西浦だが、唯一、固まっているのは花井。

田島のケガによって埼玉戦は花井が4番を打つことになったが、花井はすっかり田島の陰にいることに慣れつつあった。

そのプレッシャーからか、花井は今日絶不調だった。


ー4回表


2番杉田がセンター前ヒットを打つ。

3番古沢バント失敗。

4番小山、今までと違い、ボールをよく見て観察した。
そして叩きつけるように打ち、送球が間に合うかと思いきや、バウンドが高く、ボールが落ちてこなかったため間に合わなかった。


(うん、さっきのタイムから少し変わった、かな。)


埼玉の様子もキャプテンの様子も先ほどまでとは違って見えた。
特に、キャプテンは先ほどまでとは気持ちが大分変わったようだ。

へぇ、と由妃は小さく呟いた。


次の打者は5番佐倉。
しかしここでも敬遠、二死満塁。


満塁の状況であっても三橋の様子は変わらず安定した投げを見せる。


「アウト!」


埼玉の点は変わらないままチェンジとなる。


8番水谷から始まる。
初球はストレート、水谷はライト前にヒットを出す。


9番三橋は、バント失敗。



がっくり落ち込んで帰ってくる三橋を田島が声をかける。


「ゲンミツにしょんぼりすんなよ!」


こくっ、と頷く三橋に由妃もにっと笑いかける。


「大丈夫!田島があー言うんだしっ!!応援しよう三橋くんっ!」


「う、うんっ!」






田島はバントを決める。


1死一・三塁。

フェンスの中でバントを決めた田島を見て三橋がしゅんとしているのを見る。


(声、かけるかな…あ。)


そう思った所で花井が声をかける。


「三橋!さっきのバント気にしてんのか?切りかえてけよ!」


その言葉に三橋は顔を上げて頷く。


「うっ、うん!切りかえる、よっ!」


(おお、花井が元気づけた!今のセリフ、花井自身にも言ってあげたいよ。)


じいっと花井達の様子を見ながら由妃は思う。

その時、「タジマくん、ガンバレ…。」と三橋の小さな呟きが聞こえた。


「ん?タジマ??」


由妃が首を捻ると、隣にいた千代が不思議そうに由妃を見る。


「田島くんがどうしたの?」


「え、今三橋くんがタジマくん頑張れって言ったから、何で田島かな。と思って。」


千代も聞こえたでしょ?と見てくる由妃に千代は首を振った。


「由妃って昔からよく人の言葉聞いてるよね。本当にすごいよっ!」


「え?普通じゃない?」


千代はいやいや、全然普通じゃない!とばかりに力強く首を振った。



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