そばにいてくれる君へ。

□04.前進!
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チャリリー。


「にしうらーぜっおっぜっお!!」


「声が小さーいっ!もっと声出してー!!」


「にしうらーぜっ!」


「チャリでぶつかるよ?」


「にしうらーぜっ!!!!!」


チャリリー。


「おお!いい声!!出せるんじゃん!」


部員が走る中、由妃と千代が後ろで自転車に乗り後を追う。


「ぶはー!あぢい!!」


「バテたぞちくしょー。」


「キョリはたいしたことないのにねー。」


グラウンドに戻ってくるとみんな汗だくで息を整える。


「キョリはそんなでもなくても、仲川に追われたから精神的な理由で疲れた気がする…。」


「あの目は本気だって!!絶対チャリでぶつかろうとしてた!」


はぁ…。とため息をつく部員。
そんな中由妃は自転車から降りて走ってベンチに向かった。


「わ、由妃待ってよー!」


「先に準備してる!千代は歩いて来てー!」











「仲川はなんであんなに元気なんだ?」


「自転車とはいえ篠岡はバテてんぞ。」


そう呟く仲間に勇人は汗を拭きながら言う。


「由妃体力尋常じゃないし夏すきだからねー…。」


そう言うと花井は顔を青ざめた。


「本当に仲川が人間か怪しくなってきたな。」


「確かに。」


「いや、人間の体力じゃない!」


そう言う水谷の後ろに由妃が現れた。
水谷の肩をぽん、と叩く。
水谷はそろー…っと振り返った。


「水谷ィ、どういう意味かなぁ?」


「あ、いや、その…!」


他の部員は2人から目を逸らす。

水谷の叫び声が響いた。


「ぎゃー!!いたい!!」


((ドンマイ水谷…!!))


「バナナプロテインジュースあげないわよ!!」


「そんな!お義母さん!!なんで!!」


「それはあなたが私の息子じゃないからよ!!憎い、憎いのよ!!!」


「ああー!ジュースがー!やめてお義母さん!!」


「あんたなんて!あんたなんて!!!」


「僕は何もしていないのに!」


「そんなのは関係ないのよ!」










「「……………。」」


勝手なドラマが始まった所だが、みんな止めようとはしない。

しばらく続くと、由妃が台本(らしき物)を地面に叩きつけた。


「止めてよ!!!!」


「そうだよ、いつまでやらないといけないかと思ったー!!」


「…いや、止めようがなかった。」


花井が言うと、みんな頷く。


「もうっ!5分も使っちゃったじゃん!!無駄な時間ー!!」


((そう思うならやらなきゃいいのに…。))


そうは思うものの、誰も口にすることはなかった。




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