some day




▼ネタ帳。
▼好きなように思うままに書いています!

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08/31(Sat) 11:12
76-3



「ジローさん、こんにちは!!」

「…ああ、また来たのか。」


げっそりとしているジローさんに夕夏はあわあわする。


「ど、どうしたんですかジローさん…顔色が、」

「いや、なんでも、」

「ジローさん、変わったことはないですか!?」

「…特には。」

「そうですか!」


そう言って彼はパックのジュースを飲もうとする。

それを見て夕夏はハッとする。


「あああ!!!!」

「な、なんだよ。」


驚くジローさんの手からジュースを奪い取る。


「だめですジローさん!!何が入ってるかわかりません!!」

「何がって、なに。」

「ジローさんのことを狙ってる奴がいるかもしれないじゃないですか!!私の買ってきたジュースを飲んでください!」


そう言う夕夏にジローは面倒そうに頬付きをつく。

そのジローさんの隣に人が座る。


「あはははー、確かにジローを狙ってる奴(女子)はたくさんいるだろうなー。」

「吉野。」

「吉野くん。やっぱりそうですか!!危険なので食べるものは私に一度見せてくださいね!!」


キラキラと目を輝かせながら言う夕夏。

それを見て吉野くんは笑う。


「ははは。まぁ入ってたとしても媚薬とかだろ。」

「吉野お前な…。」


けらけら笑う吉野くんはジローさんのご友人。

吉野くんはひとしきり笑うと夕夏を見る。


「ところで、矢村さんはジローのなんなの?」

「え?私ですか…!?」


何と答えればいいのだろう。

王子と私は特になんの関係もないたまたま出会った悪魔族の仲間…というか、天と地ほどの身分差があるけど。

だって王子さまですもの。

王子。

ジローさんと呼ぶのもかなり抵抗がありました。

ジロー様じゃダメですかとお願いしても断られる始末。

しかし今はそんなことを考えている場合ではない。

吉野くんに何て返せばいいのかと、あわあわしていると見かねたのか、ジローさんはため息をつくと口を開く。


「昔近所に住んでたんだ。で、オレより先にこっちに来ててオレが来たことをつい最近知ったってこと。」

「ほー。でもさー、この前ジローのこと見て王子って言ってたよなー。」


ドキリ。

吉野くんは突っ込み所が適格です。

確かに初めてジローさんを見たとき、王子って言いました私。

でもジローさん、ここでも影で王子って言われてるみたいだからあんま影響ないかなーとか思ってたけど。

やばいやばい。

どうしようと未だ固まっていると、ジローさんはまたため息をつく。


「…どーせからかってんだろ。」


そう言ってこちらをちらりと見るジローさん。

それにハッとして頷く。


「そ、そうなんです。だってジローさんが王子って呼ばれてるなんて笑えて笑えて!」


わたわたしながらも言えば吉野くんも納得したようでそっかーと笑っている。

それに安堵して冷や汗を拭う。

ちらりとジローさんを見れば呆れたような顔。

す、すみません。

お手数おかけしまして。

なんだかやり取りにげっそりしてしまい、自分のクラスに戻ろうと立ち上がる。

するとジローさんはこちらを見た。

それに夕夏は首をかしげる。


「…なんですか?」

「いや、……また今度ゆっくり話がしたい。」

「?はいっ!いつでもオッケーです。」


そう返してニコッと笑う。
教室から出ようとドアを開ける。


「あら。」

「こんにちは。」

「あ、謎の美少女。」


ドアを開けた途端、目の前には女の子3人。

夕夏は彼女たちの言葉にぽかんとする。


「謎の美少女…?」














(またジローくんと話しにきたの?)

(はいっ!だって用心しないと危ないと思いまして!)

(危ない…?)

(ええ、ジローさんを守るとお約束したんです。)

(ぷ、ジロー女の子に守られるのかよ!!)

(花さん!ジローさんは無事ですよ!)

(あはは、なんで私なの?)

(え、だって一緒に暮らしているんですよね!)

(暮らしてるって、そうだけど…なんか…下宿っていうんだよ。夕夏ちゃん。)

(なるほど!下宿ですね。)

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08/15(Thu) 19:09
76ー2



「――で?」

「何者だったりするのかなぁ〜君。」

「………。」


夕夏は正座して俯いたままで王子とその連れの言葉を聞く。

だらだらと汗が流れてくる。


どうしようどうしようどうしよう。

ノートなんか放っておけばよかった!

きっとなんとかなったよ。

っていうかノート落としたのがばかだった。

ほんとばか。

ほんとばか。


夕夏はちらりと視線を上げる。


「――!!」


目が合ったのは蒼い瞳。

夕夏はすぐさま俯き、ようやく口を開く。


「ああああの、」

「ん。ようやく喋る気になった?」

「あ、いえ、その、……………………………………………………………あなたは本当にさくら王子なんでしょうか。」


そう早口に言って、夕夏は顔を上げる。

連れの人が苦笑いで王子を見ている。

そして王子はというとこちらを凝視している。


「オレは、さくら紅次郎。」

「やっ…ぱり、王子なんですね。」

「お前は何者だ?ここで何をしている。」


やっぱり王子だ。

どうしよう、でも、


「わた、しは…、矢村夕夏、です。…………一応悪魔族の者です、が。」

「…やむら?」


王子がこちらを見る。

それに夕夏はドキリとする。

冷や汗が流れる。


「――、あの、」

「なんか聞いたことあるような気がしたんだけどまぁいいや。ともかくあんた、なんでここにいるんだ?研修、か?」

「はい、研しゅ、…研修?」


思わず首を傾げる。

研修て、なに。

そして逆に王子たちはぽかんとした顔をしている。


「研修生じゃないのか…?」

「てゆうことは何、人間界(ここ)に住んでるの?」


ドクドクと心臓の音が響く。

王子たちは知らない。

わたしのこと、知らない。

なら――。

夕夏はがばっと頭を下げる。


「お願いしますっ!!わたしのこと、見なかったことにしてください!!」

「え、」

「どゆこと。」


夕夏の言葉に彼らはぽかんとしいているようだが、それどころではない。


「お願いします!!王子の護衛でも、王子のパシリでもなんでもします!!だから、わたしのこと、見なかったことに…。」

「いや、なんでオレ…。」

「えー、ジローばっかずるい〜オレはー?」

「お願いします!!」


頭を下げたままでいると、王子がため息をつくのが聞こえる。

きゅ、と目をつぶる。

やっぱダメか――、


「…わかったよ、頭、上げろよ。」

「…………えっ!い、いんですか!」

「いいも何も、オレに敵意はなさそうだし。あんた自体害がなさそうだからな。」

「さっすがさくら王子ーやっさしー!」

「お前な…。」


わいわいとやり取りする王子とお連れの人。


「…やっぱり王子は王子なんですね…。」

「「は?」」

「だって、王子は容姿端麗、成績優秀で紳士で優しくて、ですもん!本当に優しい方なんですね…。」

「ぶっ…。」


ぽかんとした後、急に笑い出すお連れの人。

王子はぷるぷると震えている。

それに気づかず、夕夏は続ける。


「お連れの人も優しくていい人ですし!」

「………お連れの人?」


夕夏は視線を王子の隣に移す。

背の高い、男子生徒。

それを確認して王子は笑う。


「ふっ。」

「あー!!ジロー笑っただろー!!」

「お前だってさっき笑ってただろ!!」


今度は喧嘩を始める二人に夕夏は笑いがもれてくる。


「……ぷ、あははは!」

「「…………。」」

「あっ、ごめんなさい!私、つい、あの。」


夕夏はもう一度頭を下げる。


「よろしくお願いします!事情は言えないけど、わたし、王子のこと絶対護りますので!!」

「――え?」

「わたし、」


側にいたお連れの人の手をぐっ、とつかむ。

そして、その手を引く。


「――ぐえ!?」

「わたし、結構強いので。」

「あ…そう。」

「痛い痛い痛い!!」










優しい王子とお連れの人










(なにかあったらすぐに呼んでください!いつも側にいますので!!)

(また、変な奴が…。)

(え、何がですかさくら王子。)

(待って、ここで王子呼びはやめてくれ。)

(じゃあなんてお呼びすれば…。)

(ジローでもさくらでもいいから。)

(ええ!!そんな恐れ多い!!)

(あ、オレは一茶でいいよー。)

(はい!一茶よろしく!)

(オレはあっさりー!?)

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08/11(Sun) 14:24
76

「やばいやばいやばい!!」


夕夏(ゆか)は頬に手を当て、ばたばたと校内を歩く。

何がやばいかなんてあれだよ。


「な、なんで魔界の王子がこんなとこにいるの…!?」


そう、それはついさっきのこと。

日直の仕事を頼まれ、両手にクラスメイトのノートを手に歩いていた夕夏は廊下でとんでもないものを目にした。


「ん…?」


夕夏の前方から歩いて来る人たち。

普段なら普通に通りすぎるのだけれど、見たことのある人に目が奪われる。

髪や瞳の色は夕夏の知っているものではない。

だけど、しかし。


「さくら王子…?」

「え?」


そう呟いたのが彼に聞こえてしまったらしい。

夕夏はハッと我に返る。

前方にいる彼、とその友人たちはこちらを凝視している。


「――っ、」

「あ、ちょ」


だだだだ。

声をかけられる前に夕夏は回れ右をして駆け抜ける。

やばいやばいやばい!!

やっぱりあれは王子だ!!

髪と瞳の色は違うけどなんか雰囲気も違うけどあれはそうだ!!

容姿端麗、なんでもこなす紳士でモテモテなさくら紅次郎王子だ!!

なんでこんなとこで魔界の人と会わないといけないんだ。

私はまだ見つかるわけにはいかないっていうのに。

っていうかまさか追っ手…!?

真っ赤な顔から真っ青な顔に移り変わる。

まずいまずいまずい!!

非常にまずいよ。

私はまだここにいたいんだって。

どたどた歩いていた夕夏はテラスでピタリと止まる。


「っていうか、王子が私のことなんか知ってるわけないじゃん!!普通にスルーすればよかった!!よく考えたらスゴい変な奴じゃない!?しまったよ、人間の中に普通に紛れ込んでるんだからそれで普通にいればよかったのに!!ばかばかばか!!さくら王子は」

「あんた、」

「――!!」


声をかけられて振り返る。

しまった、全然気づかなかった。

そこにはさくら王子と背の高い男子生徒。

でも王子と一緒に来てるってことはこの人も魔界の人だ。

夕夏はバサバサとノートを落とす。

王子と男子生徒はこちらをガン見している。

心臓がばくばくいうのが聞こえてくる。


「あんた、何者だ?」

「ちょーっとワケ知りっぽい感じだよねー?ジローのこと、マジで王子って言っただろ。」

「――!!!」

「ちょっと、話を聞かせてもらおうか。」

「わ、わた、わたしっ…!」


夕夏はそこまで言うともう耐えきれなくなってしまい、テラスのフェンスに手をかけた。

それに気づいたのか王子がこちらに歩み寄ろうとする。


「こ、こないでぇぇぇぇ!!」

「な、」

「げっ、ここ二階だぞ…!」


夕夏は彼らの声を聞きながらもフェンスを一気に飛び越え、そのまま下に降りる。

スタ!!

下に着地して上を見上げる。

すると二人がこちらを見ているのがわかった。

しかし夕夏はそのまま走り去っていった。









一方で走り去る夕夏をテラスから見る二人、魔界のさくら王子ことジローと狼族の一茶はぽかんとする。


「おいおい行っちゃったよ、ジロー。いいんか?」

「ああ、あいつ、魔界の者だな。」

「んー、そうだねぇ。普通の女の子はこんなとこから飛び降りたら大変なことになっちゃうからねえ〜。しかもジローのこと王子って知ってるみたいだし〜。」


軽く話す一茶をジローは睨む。


「怖い顔すんなって!でも追わなくていいか?」

「ああ、オレだと分かって逃げるならオレを狙ってるワケでもなさそうだし。きっとそのうち戻ってくるだろ。」

「え?なんで。」


ぽかんとする一茶にジローは床を指差す。


「あ。」

「これ、取りにくるだろ。」


そこにはノートの山があった。












(ノートノート……………。)

(来たな。)

(!!!?)

(あはは、おバカだね〜キミ。)

(あわわわわ…。)

(さ、話してもらうか。)






**
紅心王子です。
これ、マイナー、なの、かな…?
激はまりしました。
少女漫画じゃないのにきゅんきゅんです。
ジロー可愛い。花ちゃん可愛い。

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06/29(Sat) 18:51
75


それは島を歩いていたそのときだった。

「キミ!」

「――?」

シオン達はその言葉に振り返る。

そこには初老の男の人がこちらを見て立っていた。

シオンはあくびをして歩き出す。

ルフィ達は首を傾げる。

男の人は立ち止まるルフィ達を通り過ぎ、シオンの手をつかんだ。

「キミだよ!!」

「――誰?」

シオンは何も考えていない表情で口を開く。

しかし男の人は尚もシオンの手をつかんだまま嬉々としている。

「覚えてないかい!?前にキミに助けられたじいさんだよ!!」

その言葉に一味はぽかんと、シオンは変わらず何も考えていない表情をする


「覚えてないわ。人違いじゃない?」

シオンはそれだけ言い、すたすた歩き出した。

「ま、待ってくれ!」

その言葉には見向きもせず、歩いていくシオン。

「シオンいいのか?」

そう尋ねてくるウソップにシオンはへらりと笑う。

「ふふっ、いいんじゃない?」

「いいんじゃない…ってお前な。」

呆れた表情のウソップ。

ナミは後ろを振り返りながらシオンに声をかける。

「あんた本当に知らないの?あのおじいちゃん、スゴいこっち見てるわよ。」

「あははっ、私よその島であんまいいことしてこなかったからな〜、恨まれてはいてもお礼言われることなんてないわ。」

さらりとそう言うシオンにウソップは顔を青ざめる。

「お前…なにやってきたんだよ。」

その横でサンジは目をハートにする。

「ミステリアスなシオンちゃんも好きだ〜♡」

「どんなことしたんだ?」

そう聞いてくるウソップにシオンは笑う。

「うーん、例えばお金なくて困ってたときにちょうど海岸にいたガラの悪い海賊に絡まれて逆に締め上げてついでにお財布貰ったり〜、アイス食べてたときにぶつかられて落としちゃってなのに暴言はかれたから追いかけて倍のお金もらったり。あとはねー、「すいませんもういいです。つか黙れシオン。」

シオンの台詞を止めた上に謝ってくるウソップにシオンは首を傾げる。

「シオンあんた中々やるわね。」

「ふふっ、ありがとー。」

ナミに誉められにこりとするシオン。
ウソップは頭をおさえる。

「ちげェ、なんか変だ。絶対感覚変だ。」

「ふふっ、まぁそういうことだから、あのおじいちゃんの勘違いよ。」

「そうかァ…?」

「ふふっ、そうよ。」

へらりと笑うシオンに彼らは疑問を持ちながらも町の探索をするのだった。








いいことわるいこと












(ほんとに知らねェのかなぁ。)

(シオンがそう言うんだから、知らないんじゃない?)

(でもあのジイさん、勘違いしてるようにも見えなかったけどなァ…。)









***

シオンが一人で旅してたころの話part2!
またこれも話固まったら拍手連載でやりたい。
一人で旅してたころのシオンは今よりさっくり、冷血な面もいっぱいもってた。
人のこと信じられなかったしね。
でも時々人助けもしてたんだよっていう内容…になるかもしれない。

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06/26(Wed) 01:25
74


シオンはその島を見て、数秒後、へらりと笑う。


「私、船番してるわ。」

「――?なに言ってるのよ!行くわよ。」

「そうだぞシオンっ!!行くぞ〜!」

「行こうシオン!!」

「……、」


シオンは困ったように眉を下げ、そしてまたへらりと笑う。


「――そうね、ならちょっとだけ。」











島の中心地を目指して歩き、町の中へ入っていく。

そこには小さいながらも広場があり、噴水がキラキラと水飛沫をあげていた。

一味は噴水の周りにある出店に夢中になる。

そんな中、ナミに連れられ出店を覗いていたシオンにゴツリと何かが当たる。

その音にナミが驚き、ルフィも不思議そうにシオンの方を見る。

そして彼女の姿を見た途端、顔を青ざめ目を丸くさせる。


「シ、シオン!?」

「シオンどうしたんだ!血が出てるぞ!?」

「なに、なにがあったの今、」


そこまで言った所で、ナミはシオンのそばに整地されている場所には不似合いな石を見つける。

そしてそれには血がついている――

ナミは慌ててシオンとその石を見比べた。


「シオンもしかしてこの石が、」

「ふふっ、そうみたい。でも、」

「誰だっ!!シオンに石投げたのは!!!」


広場で騒ぎ始めるルフィにシオンはぽんと肩を叩いて落ち着かせる。


「ルフィ、広場でそんな大声出しちゃだめよ。」

「で、でもシオン血が!」


あわてふためく彼らにシオンは何にもなかったかのように手で血を拭うとへらりと笑う。


「だーいじょうぶよ。ふふっ、私やっぱり船に戻るわ。」

「え、ちょ、」


ルフィやナミの言い分など聞こうともせず、シオンはやって来た方へ方向を転換させた。

と、その時。


「待てよ!!」

「……、」

「なんだあ?」

「…?」


シオンやルフィよりも年下位の男の子。

彼はシオンの行く方へ立ちふさがった。

彼の手には石ころが何個か抱えられている。

それを見てルフィはカッとする。


「お前か!!シオンに石投げたヤツは!!」


そんなルフィをぐいっと引っ張り、シオンは首を振る。


「なんでだよ!!シオン離せっ!」

「…いいのよ。」

「なにがだよ!!よくねェ!!」


シオンはルフィにふふっ、と微笑む。

ルフィはそれを見て力を抜いた。

その様子にナミもほっとし、男の子に声をかけた。


「キミ、どうしたの?その石は…」


そこまでナミが言った時、男の子は再び持っている石をシオンに向かって投げた。


「シオン!」


シオンはその石を避けることなく受ける。

額にぶつかり、うっすら血が流れる。


「!――お前っ!!」

「お、お前が悪いんだ!!」


男の子は手をぷるぷると震わせながらこちら――シオンを睨み付ける。


「なんでまた来たんだ!!この…、」


その男の子の声は、ルフィやナミを驚愕させるものだった。
















「―――この、ひとごろし!!!!」


「「!!?」」


彼はそう言い放つと、一目散に広場から立ち去った。

シオンは眉を下げ、彼の後ろ姿を見送った。
















それはかつて彼女が、











(…………。)

(シオン…?)

(な、どういうことだ?)

(とりあえずチョッパーの所に行きましょ!)






***
青空〜ばんがいへん。
シオンが人を信じられなかった頃に訪れたことのある島。
久々に降り立ったその島でシオンは人殺しと呼ばれる。
抵抗も避けもしないシオンに疑問を抱くルフィたち。
昔、シオンがここを訪れたときなにがあったのか、人殺しと呼ばれる理由は、、っていうはなし。
もういっこバージョンがあるので忘れないようにそれもとりあえずネタ帳にupしとこー。
拍手連載で次にやりたいはなし。

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02/16(Sat) 23:21
73-2

「土井先生〜…、あの人、大丈夫スかね…。」

珍しく気落ちしているきり丸に、土井は魚を手に苦笑いする。

休みで久々に帰ってきた我が家に、何故か怪我をして倒れていた女。

その女の手当てをしてから数日。

彼女は一度も目を覚まさない。

きり丸はそんな彼女を純粋に心配しているようだが、土井はまだ疑問を持ち続けていた。

きり丸を家に一人で残さぬようにしているし、念のため家の周りの気配も探るようにしている。

今のところ可笑しな様子はない。

内心ため息をつきながら、土井はきり丸に笑いかける。

「大丈夫だ。きっともうすぐ目を覚ますさ。それより、」

「?」

「お前は宿題をしろっっ!!一回もドリルを開いてないだろう!!」

「あ、あはは!!だって…、」

「だってじゃなーい!!」

そう叫べば、きり丸は不満そうな様子を見せながら、「あとでやりますよ…。」と答えた。

そんなきり丸に土井は息をつく。

「あとでっていつなんだ。」

息をつく土井にきり丸は笑ってごまかす。

そんな彼を見ながら、彼女が目を覚まさないままであるのは不都合だと感じる。

いつまでもこの家にいるわけでもない。

忍術学園に戻るまでに彼女が目を覚ましてくれればいいのだが。

しかし、彼女は一体どこから来たのだろうか。

手荷物などは何もなく、ただひとつ。

ただひとつだけ持っていたのは倒れていた彼女が握りしめていたロケットつきのネックレス。
(きらきら輝くその首飾りにきり丸は目を銭に変えていた。)

そんな物だけでは彼女の素性を知る為には何のヒントにもならない。

「ふう。とんだ災難だな。」

ぼそりとそう漏らす。

しかし大分この巻き込まれるような感覚には慣れたものだ。

我がは組の生徒達を思いだし土井は笑う。

「さて、飯の用意をするか。」

「なーに笑ってんすか。」

「お、きり丸いたのか…、」

「楽しそうでしたね。」

「はは、まあな。」

「変な先生。」

不思議そうなきり丸に土井は微笑むのだった。












(一人で笑ってると怖いんすけど。)

(はは、気にするな。)

(変な土井先生〜。)







――わはは、連載書けちゃうぜ!!でも今やってる連載で手一杯だ!!笑
とりあえずここで書けて満足!

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02/03(Sun) 16:14
73

「さあー!!着いたぞ〜!長かったっすね!!土井先生!」

「そうだな…ってお前が小銭の音がしたからってウロチョロと脇道にそれていったからだろう!!」

「エヘエヘまぁいいじゃないっすか!無事我が家へ帰ってこれたんですから!」

にかっと悪びれなく笑うきり丸に土井はため息をつく。

何だかんだ言っていても結局は可愛い生徒なのだ。

土井はきり丸の頭をぽんとなで、先を促す。

「行くぞ、きり丸。」

「ほーい。」

駆け足で見えてきた我が家へ行こうとするきり丸に優しい笑顔を向ける土井。

しかし次の瞬間表情をパッと変えた。

それと同時、少し先を小走りしていたきり丸の側へ駆け寄り、声を潜めて手で制す。

「きり丸。」

突然の土井の動きにきり丸はびくりとし、そこは忍者のたまご、土井の表情を見て何かを察する。

「な、なんすか…。」

緊張を含む表情で土井を見るきり丸。

声が強ばっている。

「家から誰かの気配がする。」

「――え、ウチから?」

大家でもない、隣のおばちゃんの雰囲気でもない。

つまり、誰かと言われれば、分からないということ。

盗人か、はたまた刺客か。

土井は眉を潜める。

学園に来る前は彼も忍者をしていた。
どこかで恨みをかっているかもしれない。

土井はきり丸を自分よりも後ろへ庇い、家に向かおうとする。

と、その時彼はハッとする。

後ろにいたきり丸は何故かもう家の真ん前まで進んでいるのだ。

「――きり丸っ!!」

土井は慌ててきり丸の所まで駆け寄る。

やはりまだ子ども…警戒心が薄いのだ。

もし危険な輩だったら――土井は青ざめる。

そんな中、きり丸は土井の心配に反してけろりと家をのぞきこむ。

「――あれ、土井先生、」

「どうした!!」

何も中から出てこないことに彼は安堵する。

きり丸はぽかんとした表情で土井に振り返る。

それと同時に室内から人の気配はあるものの、動く様子が全く感じられないことに土井は不思議に思う。

「――人が、倒れてます。」

「――なに?」

訝しげに眉を寄せ、警戒心を忘れぬまま中へ足を踏み出す。

踏み出したその瞬間、部屋の中に流れる血の匂いに口元を押さえる。

「……女?」

「大丈夫っすか!?」

「あっ、コラきり丸!!」

倒れている女の元に走っていくきり丸を止めるがそれは間に合わず、きり丸は彼女を覗き込む。

「――しっかりしてください!!」

「…う、」

きり丸が彼女の頬を叩き、声をかければ、彼女は身じろぐ。

「土井先生!!この人生きてます!!どうしたら…!」

必死に言う生徒に土井は小さく息をつくが彼女の怪我の具合を見る。

「うん、きり丸とりあえず湯を沸かしてくれないか。」

「――はいっ!!」

手当てをしながらも、彼女が怪しい人物でないか思考をくぐらせる。

女がこのような怪我をするなんて忍者などの裏の人間でしか中々考えられない。

裏の人間か、はたまた何かに狙われる者か。

そして何故この家にいたのか、何故怪我をしているのか。

土井の思考は固まることはなかった。











(先生!湯が沸きました。)

(ありがとう。)

(この人、大丈夫ですか?)

(ああ、命に別状はない。栄養も取らんといけない。きり丸、)

(オレ買い物してきますっ!!)

(…早いな。)







―――にんにん!最近土井先生が急上昇です!(*^^*)
土井先生ときり丸の親子な感じがすき。

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02/16(Sat) 17:58
69-4

タカヤの言葉を頭に残しながらも芯は帰り道を急ぐ。

本当にロクなことがねぇな。

そう思いながらもカバンをかけ直す。

と、その時である。

「吉本、芯くん!」

タカヤの時同様名前を呼ばれる。

しかし今回は聞き覚えのない声である。
不思議に思い振り返れば巨乳美女が不敵な笑みを浮かべてそこに立っていた。

しかし彼女の服装に芯は眉を寄せた。

そう、巨乳美女はなんと野球のユニホームを着ていたのだ。

芯が眉を寄せたことに気づいたのか、気づいていないのかは分からないが彼女は不敵な笑みを浮かべたまま口を開いた。

「あなたが、吉本芯くん。」

「……そうですけど。なんスか?」

無愛想にそう言うが彼女はニコッと笑う。

「見たらわかると思うけど私今年から設立される硬式野球部の監督をやる百枝っていいます。」

笑顔で言う彼女に芯は笑顔を貼り付ける。

「新設される野球部の監督さんが何か?」

「――ええ!私はあなたを勧誘しにきたのよ。吉本芯くん!!」

「……そうですか。勧誘わざわざありがとうございます。でもオレ、野球やる気ないですから。」

「もったいないよ!策士と呼ばれた君が、野球やめるなんて。」

「ははっ、策士なんて大袈裟な。オレはただ、勝ちたかっただけですよ。」

「うん、スポーツやるなら勝ちたいよね!分かるよ、その気持ち。」

そして彼女はまっすぐに芯を見る。

「――1年間のブランクがあるといってもすぐにカンは取り戻せるよ。もう一度、野球やってみない?」

「オレ、もうやらないんですよ。野球は。」

「ううん、君の目はまだ野球を欲している。まだ、野球をやめたことを後悔してると思う「――やらないって言ってるじゃないですか!!」

カッとなり、叫ぶ。

そして叫んだ後にしまったと恐る恐る監督を見る。

すると彼女の表情は怒っているでもなく、驚いているでもなく、微笑んでいた。

それに芯の方が驚かされる。

「うん、みんないろんな思いを持って行動してる。今すぐは無理でも、待ってるからね!いつでも見においで!!」

はつらつとそう言うと彼女はまた微笑み、そして歩き去る。

「…なんなんだ一体、……オレは、」

甦るのはあの輝いていた毎日。


「オレは、未練も後悔もない……!!」

今のオレは、深く沈んでいるのだろう。
あの輝いていた日々はすでに遠い日のこと。

それに、元希を裏切っておいて、もう戻れない。














(――オレはすっかりひねくれてしまった。)





(…にしてもあの監督、なんだよ。あの笑顔、怖ぇ。)

(何者だよ。まじで。)









―――大振り芯シリーズ。その4。
百枝監督登場。芯のポジションはキャッチャー。周りから“策士”と呼ばれていました。モモカンは勿論そんな芯が西浦にいることは調べていました。ぜひ入部してほしいと思ってるモモカン。芯は怒鳴ってしまったことに後悔、ぷらすモモカンの力強い瞳と雰囲気にびびってます。笑

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01/04(Fri) 20:24
69-3

「さて帰るか。」

芯は一人そう言った。
新学期が始まり、みんなとっくに部活へ行ってしまった。
そろそろ腹も減ってきたことだし、のんびり帰ろう。

ちょっと前はHRが終わった瞬間に弁当食って野球をやっていたというのに。

慣れというのは恐ろしいものだ。
すっかりこの生活に慣れてしまった。

芯はカバンを持ち教室を出た。

と、その時だ。

「芯、さん?」

名前を呼ばれて振り返る。
そして目に入ってきた人物名を見て少しだけ眉を寄せる。

そんな芯に反して名前を呼んだ人物は驚きの表情でこちらを見ている。

「やっぱ芯さんっすよね。なんで、西浦に…」

彼は、一つ下の後輩。

「よ、タカヤ。久しぶりだな。」

「あ、ハイ。久しぶりっす。」

彼、シニアの時の後輩タカヤは挨拶してから数秒、目をカッと見開いた。

「いや、久しぶりじゃないっすよ!!なんで芯さんがこんなとこに…。」

「なんだタカヤ。オレが高校行けないほどアホだと思ってたのかよ。」

「いやっ、違いますけど、…って話逸らさないでください!」

今度はキッと睨まれる。
おいこら先輩に対してなんだその顔は。
と心の中で突っ込むも、タカヤの真剣な表情にはぁと息をはく。

「だって、てっきりハル…モトキさんと同じ高校だとばっかり…。」

タカヤのその言葉に芯は息をはく。

「まぁな。いろいろあって西浦にしたんだ。」

簡単にそう言うも、タカヤは納得いかないようだ。

尚も食い下がってくる。

「いろいろって、だって西浦には野球部なかったじゃないですか!!」

そう言われ、ふと今年から設立されるということを思い出す。

芯は動揺した様子も見せずに口を開く。

「だからここにしたんだと言ったら?」

その言葉にタカヤは衝撃を受けたようで目を見開き固まっている。

タカヤには悪いが、オレはもう野球やらないって決めたんだ。


下手にここでオレの決意を無駄にしてはいけない。

まだ何も言えそうにないタカヤに淡々とした言葉を続けて言う。

「オレ、もう野球やらねーの。だから、西浦にした。今年から野球部できるんだってな。タカヤは入るんだろ。頑張れよな。」

ぽんとタカヤの肩を叩き、未だ固まったままの彼を置いて歩き出す。

しばらく歩いたその時、後ろから声をかけられる。

「オレは――オレは芯さんのプレーに憧れてました!!なんでやめたんスか!!」

その言葉に心臓を鷲掴みにされた気分になる。
芯は一度だけ立ち止まりその質問に返した。

「なんで、って“オレの為”にだよ。もう駄目なんだ。野球は、もうやらねー。」

「なんで…!」

そんなタカヤの声を聞きながら芯は歩き出す。

ほら見ろ、野球部ができるって、やっぱロクな目に合わないじゃねーか。

ずきずき痛む胸に叱咤しながら芯は帰路についた。














(今さらオレになにをしろと言うんだ。)

(もう、きっと戻れないって分かってる。)









――大振り芯シリーズ。榛名さんと同じシニアということは勿論阿部が関わってきます。阿部は芯に憧れていた設定。なんで芯がやめたのか、何故あんな冷たいことを言ったのか、阿部は衝撃を受けています。

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01/03(Thu) 20:56
69ー2

春。

桜の花が舞う中、彼はため息をつきながら歩く。

「あー、くそ、またこの季節か。」

春は嫌いだ。
昔のことを思い出す。
あの時の、元希の顔を。

「おー!芯!!」

声をかけられ、芯はハッとしその声のした方を振り返る。

「よう浜田。お前1年なんだから敬語使えよ。」

芯がそう言えば浜田は口元をひきつらせる。

「芯…、オマエ。ほ、本気だったのかよ…。」

「当たり前。」

「当たり前て、芯…頼むから。」

「なんだい後輩の浜田くん。」

ずーんと沈みきった浜田を見て芯はけらけら笑う。

「今日から2回目の1年生頑張れよ。友達できるといいな…。」

「なにその憐れむかのような目!!やめてくれっ!!」

「はは、まぁ梶たちにもあまり浜田をからかうなと言われているからな。」

その言葉を聞き、あいつら…!と感動している浜田を見つつ、芯は続きを言う。

「――浜田をいじるのはオレ達の生き甲斐だからっつってたな。」

ずるう!!

大袈裟にずっこけた浜田を見て芯は真顔で言う。

「おー、いい滑り具合だ。」

「芯〜!!!」

涙目になる浜田に芯は「悪い悪い」と言い笑う。

「お前絶対悪いとか思ってないだろ。」

その浜田の言葉を聞き流し、芯は新しいクラスへと足を進めるのだった。












新しい新学期、
新しいクラス、
新しい友人、

新しい生活が始まる。








そしてそれはこの新しい日に崩れる。











(おーっす。)

(おー芯はよー。)








――大振り芯です。前回芯の話をここにupして芯に人気があったのに私が驚愕。いつか連載できたらなぁ。でも話なかなか思い浮かばない…( ´△`)とりあえず、ここでupする感じで。笑

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