物置

□甘い果実
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油断――だったと思う。


「……っっ!」
地面に強かに背をぶつけ、肺が引きつった。
息が出来ない。

「あーあ。折れちゃった。」

砂利を踏む音がして、男が脇に屈んだ。
「自分が悪いんだよ?こんなとこに来るから」
ぐり、と力任せに男の方を向かされる。
霞む視界に、暗い山に燃える橙が写った。
「それとも、此処が何処かわからなかった?」
男は可笑しそうにくつくつと笑うと、自らその可能性を否定した。
「そんなわけないよね?そんな立派な羽持ってんだし」
見事に折れた羽を男は摘まみあげた。
「羽が折れた天狗ってどうなるのかな?」
「知る、……かっ」
吐き出すようにそう言い捨てると、男はにんまりと笑った。
「なんだ。元気そうじゃん」
ちろり、と男の口から紅い舌が見え隠れする。

「さぁって……どうしようか?」
 

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