竜の目

□第七話・始まり
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ザブン

ザブン


海王類達は少しずつ海に帰っていく。



「い…いいなとにかく…!!こいつが海へ帰っていく瞬間に思いっきり漕ぐんだ!!」

「お…おう!!!」

「・・・ンニッ…!!」




「?」




メリーを頭に乗せた海王類がびくりと動いた。







「ッキシ!!!」

「!」

「なにいいい〜〜〜〜〜っ!!!?」

「あああああ!!」



海王類がしたくしゃみによりメリーは吹き飛ばされ、船員達も宙を舞う。




「ゲコ・・・」


「わ!!かえるが飛んできたぞ!!」


「ふり落とされるなァ!!!」


「ウソップが落ちたァーーっ!!」


「ウソップーーーーーっ!!!」

ルフィの手がギリギリの所でウソップを捉える。


「うっあ!」


名無し子は揺れる船体に足を掬われ、バランスを崩した。

そして船の縁まで滑ってそのまま海に投げ出されそうになる。

「…ッ!」









ガッ!!









「っにやってんだ!」


ゾロに腕を掴まれ、引かれてなんとか落ちることを免れる。


「わ、わ、わッ!?」


今度は逆にバランスを崩した名無し子がゾロを押し倒す。


























ピシャ!!



ゴロゴロゴロ・・・






「…よかった…ただの大嵐に戻った…」


ルフィが地面にへばり付いて安堵する。




「ご、ごめんゾロっ!」


余りにも近い距離に慌てながら名無し子はゾロからから身を引く。


「いや……ん?顔面打ったか?」


「っえ、」


「赤ェ」


「いや、大丈夫。」


(…赤い?何で?)



ゾロの言葉に疑問符を浮かべる名無し子の後ろでナミがうんざりしている。


「これでわかった?入口から入る訳。」

「ああ…わかった…」


そしてゾロも返す。



と直ぐにナミがハッとする。




「わかった……」

「?何が」

「やっぱり山を登るんだわ。」

「まだ言ってんのかお前、そんなこと。」



「海流よ。四つの海の大きな海流が全てあの山に向かってるとしたら。」

「なるほど…!」



ナミの言わんとしていることをいち早く察した名無し子が声を上げた。




「四つの海流は運河をかけ上って頂上でぶつかり、"グランドライン"へ流れ出る!!!もうこの船はその海流に乗っちゃってるからあとは舵次第。」


そこまで言うと全員納得するも、更にナミが続ける。


「リヴァースマウンテンは"冬島"だからぶつかった海流は表層から深層へもぐる。誤って運河に入りそこなえば船は大破。−−海の藻屑ってわけ…わかる?」

「ははーん要するに"不思議山"なんだな?」

「まあわかんないでしょうけど…」


「ナミさんすげーぜv」


ナミの説明もルフィには無意味なものになる。



「聞いたことねェよ。船で山越えなんて。」

「おれは少しあるぞ。」

「不思議山の話か?」

「いや…"グランドライン"ってのァ…入る前に半分死ぬと聞いた。簡単には入れねェとわかってた。」


サンジがニカ、と笑って言った。



「不思議山が見えたぞ!!!」

「待て!後ろの影は何だ?!」

「バカでけェ!!!」

「あれが…"レッドライン"か!雲でてっぺんが見えねェ!!!」

「吸い込まれるぞ!!!舵しっかり取れ!!!」

「まかせろォ!!!」

「すごい、」


「ウソみてェだ…」





レッドラインの大きさと、そしてドウドウと登る海流に全員が息を飲む。







「本当に海が山を登ってやがる・・・」

「運河の入口だァ!!!!」




「ずれてるぞ!もうちょっと右!!!右!!!」

どうやら運河の入口に対して船がずれているようで、ルフィが慌てて声をあげる。

「右!!?おもかじだァ!」

「おらァア〜〜〜〜っ!!!」




ボキィッ!!!!



おも舵を取っていたウソップとサンジが吹っ飛んだ。


・・・おも舵をとる、そのための舵ごと。



「ぶつかるーーーーーっ!!!」














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