竜の目

□第六話・嵐の出航
3ページ/7ページ









(…あれ…?)


誰かが受け止めてくれたようで、全く痛くも痒くも無い。



「す、すいません!おわっ!」


目の前には見知った顔。





ゾロだった。




「割とよく転ぶよな。お前。」

「ごめん!あ、ありがとっ!」


名無し子は慌てて飛び退く。

「あッ、刀…!」


ゾロの腰の刀が三本になっていることに気付いた名無し子が言った。






しかし、瞬間ゾクリと震えた。






「……き、てつ?」



「わかんのか。」


視覚ではなく感覚が名無し子にそう言わせていることを感じたゾロが感心していた。


「妖刀だよ、それ…」

「知ってる。コイツで運試ししたが、大丈夫だったから貰ってきた。」


「…三代目と雪走か。」


名無し子は今度は視覚的に捉えて言った。


「さすが刀鍛冶の息子だな。」

「まぁ、名刀だからね。どっちも。」

「へェ。」

「名刀三本ね…。案外壊れて良かったり。」


笑って名無し子が言うと、ゾロも"かもな。"と返して笑った。



「あ、おれルフィんとこ行こうと思ってたんだ。多分処刑台辺りにいるだろうから。」

「ルフィ?何で。」

「騒ぎ起こしそうだから。最近腕のいい大佐が配属されたらしいし、一応賞金首になっちゃってるし。」

「…確かにな。」

「あ、ついでだからゾロも来て。」

「あァ?」


何がついでなのかとゾロが聞き返した







「だってゾロ方向音痴じゃん。」



「…違ェし…」





否定の割に声の小さいゾロだった。















次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ