竜の目

□第四話・故郷
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傷を治療してもらって、宴に参加させてもらって、今日ココヤシ村を出ることになった麦わらの一味。

ナミを除く5人はゴーイングメリー号からヨサクとジョニーを見下ろしていた。


「あっしらはまた本業の賞金稼ぎに戻りやす。兄貴達にゃいろいろお世話になりやした。」

「ここでお別れっすけど、またどっかで会える日を楽しみにしてるっす。」

「そうか、元気でな。」

「兄貴達も。」


ヨサクとジョニーとはここで別れることになるのでお互いに別れの言葉を交わす。


「しかし来ねェなあいつ。」


ナミを待っているが、一向に来ない。


「来ねェんじゃねェのか?」


ゾロはニヤリと笑ってサンジをからかう。


「来ねェのかナミさんは!!?オォ!!?」

「お前な!!生ハムメロンどこにもなかったぞ!!」

ルフィに聞くも、サンジの質問のではない返答を返すだけ。

村人もがやがやとナミを待つ。




そこに、





「船を出して!!!!」

「ん?」

「ナッちゃん!?」

「……」


ずだっ!!

やっと来たかと思うと、ナミは船に向かって走り出す。


「!!?」

「走り出したぞ!!?何のつもりだ!?」

「船を出せってよ……とにかく出すか。」

「まさかあいつ…我々に礼も言わせず別れも言わずに行こうというのか!?」

「そんな…」

「帆をはれ!!!」



だだだだだだ




「………」

「止まれナッちゃん!!!」

「礼ぐらいゆっくり言わせてくれ!!!」


ナミは無言で走り続ける。


「あ…あいつら船を出しやがった!!!君らにもまだあらためて礼を…」

「出航――!!」

「ナミ待て!!!そんな勝手な別れは許さんぞ!!!」

「おいいいのか!?こんな別れ方させちまって。」

「あいつの別れ方ぐらいあいつが決めりゃいいじゃん。」


サンジのセリフを聞いても、ルフィはさほど気にしていない。

ナミは止めようとする村人の間をするすると縫うように通って行く。


「ナミ!!!」

「ナッちゃん!!!」


たんっ…!


「どうして……!!!」


スタン!!

ついにナミはゴーイングメリー号に乗船してしまった。

「!」

「え!?」

ぐいっ

ドサドサドサドサ

ナミが服をめくると大量の何かが出てきて、ナミの足元を埋めていく。

「!!?」

「あ!!?あれ!?サイフがないぞ!!?」

「おれもだ!」

「わしのも!!」

「私も!!」

「おれのも!!!」

「みんな元気でねv」

にこっと笑ったナミの手には紙幣。足元には色とりどりのサイフたち。

「…や……」

「やりやがったあのガキャ―――ッ!!!」

村人が声を揃えて叫んだ。

「おい、変わってねェぞコイツ。」

「またいつ裏切ることか。」

「ナミさんグーッ!!」

「やっぱりこれがナミらしいかもね。」

「だっはっはっは!」

「この泥棒ネコがァーっ!!!」

「戻って来ォい!!!」

「サイフ返せェ!!!」

「この悪ガキィーッ!!!」

「いつでも帰ってこいコラァ!!!」

「元気でやれよ!!!」

「お前ら感謝してるぞォ!!!」

村人たちは文句を言う口調のまま、ナミと海賊たちに別れの言葉をかけていく。


「小僧!!約束を忘れるな!!!」

「!」

最後のゲンゾウの言葉にルフィは無言で親指を立てた。

「じゃあねみんな!!!!行って来る!!!!」


こうしてルフィたちはココヤシ村をあとにしたのだった。

















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