竜の目
□第三話・見えない剣
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「貴様、何を血迷ったことを…!!!」
「雑魚はクソひっ込んでろ!!!」
慌て出す魚人たちをサンジが蹴り飛ばす。
「!!?」
「ぐあああっ!!!」
「………!!」
「―――ったく、おめェは一人でつっ走りやがって。」
一通り片すと呆れたようにルフィに言った。
「別におれ負けねェもんよ!!」
「バーカ!おれがいつてめェの身ィ心配したよ!!獲物を独り占めすんなっつってんだ。」
「そうか。」
「…たいした根性だよ、お前は…」
「とんでもない船長に付いて来ちゃったな。」
「お…おれは別に構わねェぞ、ルフィ。」
各々言いたいことを一言ずつ言う。
「ロロノア・ゾロ…!!名無し太・名無し子…!!」
「だろ!!あいつらだろ!!おれをダマしやがったんだ!!まんまとのせられた…いや!!のせてやったんだがよ!!」
「長ェ鼻の男が…生きてる……!!」
「死んだハズじゃ…!!」
魚人たちもまた各々言いたいことを言っている。
「海賊か………なるほど、てめェらそういうつながりだったか。」
アーロンが全員を睨みつけ、凄んだ。
「おい!!彼らは一体何者だ!!」
「あのアーロンの巨体を吹き飛ばすなんて…!!並の人間の業じゃないぞ!!」
「あいつら……!!」
狼狽えたのは魚人だけではなく、ココヤシ村の村人たちも驚きを隠せなかった。
「あの人達にどうにもできねェ相手なら、」
「もはやこの“イーストブルー”の命運に未来はねェ!!この戦いにどうしても水を差したきゃ、あっしらを殺して行きな!!」
すでになくなった門の前で尚、村人を通すまいと居座るジョニーとヨサク。
「どうしてそこまで……君らに戦う理由など…」
「ナミの姉貴が泣いていた。」
「命を賭けるのにこれ以上の理由が要るのかい。」
二人の言葉に、村人はもう誰も言い返さなかった。
「つまりてめェらは最初っからナミが狙いだったワケか……シャハハハ!!たった4人の下等種族に何ができる!!!」
「バカヤロォ!お前らなんかアーロンさんが相手にするかァ!エサにしてやる!!!出て来い巨大なる戦闘員よ!!!」
ブッパパブパブパブッパッパーッ♪
「な…まさか…」
「何だ何だ何事だ!!!」
酷く間抜けなラッパ音が響き出すと、ウソップと村人たちが焦り出した。
「ゴサを潰した“グランドライン”の怪物か…!!?」
「出て来いモーム!!!」
「モォ〜…」
ザバァッ!
海から現れた怪物は、何故かすでにボロボロで、涙をこらえている。
「出たァ〜〜っ!!怪物だ〜〜〜っ!!!」
「は………?」
「あれが…海牛モーム……!!!」
何人かを除く全員が息を飲む中、モームは見覚えのある人間を視界に捉えた。
「!!!」
ギクッ
「なんだあいつか。」
「魚人の仲間だったか。」
「ンモ゛………!!!」
そ〜・・・
どうやらケガはルフィとサンジによるもののようで、モームは踵を返し海に潜って行く。
「待てモーム!!どこへ行く!!!」
ハチがモームを呼び止めるも止まる気配は無い。
「モーム…何やってんだてめェ…」
ビクッ!!
「まァお前が逃げてェんなら別に引き止めはしねェが?…なァモーム。」
モームはアーロンの言葉を聞くと、途端にガタガタと震えだし、
「モ゛ォォォォォ!!!!」
「きたァ!!!!」
麦わら一味に襲いかかる。
「よっしゃモームに続けェ!!!」
「出しゃばった下等種族の末路を教えてやる!!!」
魚人たちはモームと共に麦わら一味に襲いかかる。
「だあああ〜〜〜〜〜っ!!!」
ウソップを除いた全員が戦闘態勢に入ると、ルフィが叫んだ。
「おれがやる!!!時間のムダだ!!!」
「モ゛ォォォォ!!」
ドスン!!
「魚ォォォ〜〜〜〜っ!!!」
ドスン!!!
「何をする気だあんにゃろ。」
「いい予感はしねェな。」
ルフィは両足を地面にめり込ませる。
「ぬぅァ!!」
「わ!!」
「!?の、伸びたっ!!?」
名無し子は初めて見るルフィの体の変化に驚いた。
「あ、悪魔の実の能力者…!!」
「ふんっ!!!」
がしっ!!
「モ゛…」
「!!?」
「あれは…!!」
「コイツ“悪魔の実”の能力者だ!!!!」
伸びた腕でがしりとモームを掴んだルフィに驚いたのは、何も知らされていない魚人も同じだった。
「何!?」
「おい逃げろ!!」
「何!?何すんだあいつは!?」
「知らねェ!!!」
急いでルフィから距離をとる。
「ゴムゴムのォ」
ぎゅるるるる!
ルフィの体が捻りあがる。
「何のマネだっ!!」
「殺せ!!!」
「モ゛ォォォォォ!!!」
「“風車”!!!!」
ドゴゴゴゴォ!!!
「ぎああああああ!!!!」
なんとルフィはモームを振り回すことで周りの魚人達を吹き飛ばしたのだ。
オオオオオ・・・・ン!
ザパァァン!!
無残にも海に投げ込まれるモーム。
「おれはこんな奴ら相手にしに来たんじゃねェぞ!!おれがブッ飛ばしてェのは…お前だよっ!!!!」
「そいつは丁度よかった。おれも今てめェを殺してやろうと思ってたとこだ。」
アーロンとルフィが睨みあった。
「どうやら…我々もやらねばならんらしい。」
「同胞達をよくもォォォ!!!」
「種族の差ってやつを教えてやらなきゃな、チュッv」
「人間風情が…。」
どうやら幹部らしき魚人4人が前に出てきた。
「主力登場か…」
待ってましたと言わんばかりにゾロは構え、
「危ねェだろうがてめェ!!」
サンジはガスガスとルフィを蹴りつけ、
「あ…」
ルフィは何か言いた気に、
「おれ達まで殺す気かァ!!」
ウソップはルフィを怒鳴りつけ、
「それより早く抜いた方が…」
名無し子の話は誰にも相手にされなかった。
「こんなことなら初めから我々が戦るべきだった。」
そして本格的に戦闘になっていく。
…ルフィの足は埋まったまま。