竜の目
□第十六話・呑まれる
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弁えろ、
己の立場を弁えろ。
あたしが守らなければならないことは3つ
まず、
"聞いて"、"見て"、"教えて"、
それらがあたしの為に発する言葉であってはならない。
次に、
全ての行動は、己の損得ではなく名無し子らしいものを選択すること。
例えば今、アラバスタの危機を名無し子が聞いていたなら、必ず戦いに参加しようとするだろう。
だからあたしはその戦いに参加するのだ。
それは決してビビの為ではない。
そして、
必ず己の命を最優先にすること。
当然だ。あたしが今ここに生きているのは竜の目を奪い返す為。
名無し子以外の人間の為に死ぬなんてあってはならないことだ。
だから例えば、アラバスタでの戦いが自分にとって危険なら、さっさとこの一味から離れなければならない。
心優しい一味なのは分かっている。しかしそれ故に厄介事に巻き込まれ過ぎていることもこれまでの間に嫌と言う程分かった。
だからこれ以上彼らに肩入れしないようにしなければ。
だって血も涙もないと言われようと、あたしはその時がくれば彼らを見捨てるのだから。
そうだ、わかってる。わかってるんだ。弁えろ。弁えなければ。
そうして全てを終わらせるんだ。全て。何もかもを。