竜の目
□第九話・ウイスキーピーク
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(寒い…、し…)
(暗い・・・・・・)
「お前誰?」
「!」
振り向けば男の子がこちらを見ている。
「あたし・・・?・・・、」
記憶をくるくると手繰っても思い出せない。
「あたしは、誰だっけ・・・」
「それよりあなたこそ誰なの?」
「忘れちゃったの?」
男の子はあたしを見ると、信じられないという顔をした。
「・・・うん、ごめんね。」
「名無し太は、俺を忘れちゃったの?」
その言葉にぐらりと目眩を覚える。
(あたしは、名無し太・・・だ、そしてこの子は)
「俺の代わりをしてるんだよね?それなのに分からないの?」
「・・・!!」
「じゃあ名無し太は、誰の振りをしてるの?」
「あたしは、名無し子の・・・」
「俺の何?名無し太は出来てないよ、何も。」
(あたしは、名無し子の振りが出来ていない・・・?)
「・・・おい、」