竜の目

□第六話・嵐の出航
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「…っ!わ、」


ガッ!


ダダン!


名無し子は体勢を崩し着いた足で即座に床を蹴り、飛び上がる。


「危な…」

「飛び上がりすぎだ。」

ドッ!

「ぎゃ!?」


ゾロの足が名無し子の鳩尾に入り、名無し子はそのまますっ飛んだ。

ドテ。

「ゲホゲホッ!」

「隙がありすぎだ。」

「ちくしょー…ゴホ、」


晴れているにも関わらず名無し子は体が流石に鈍ると言って(とは言ってもいつも倉庫で筋トレは欠かさないが)、ゾロに手合わせを頼んだ。

とまぁここまではよかったが、

「…暑い。」

「だから脱げっつったろうが。」

「焼けるじゃん。」


暑くて仕方ないと言った風な名無し子にもっともな意見を述べるが、名無し子は頑としてゾロの意見を聞き入れない。

「…、とにかく、受け身をとるなら切り返して向かって来い。長くなればなるほど集中しきれて無いぞ。」


「んー…うーん…」


「あと、跳んだり跳ねたりに力を使いすぎだ。最後は完全に無駄な動きだな。見せ物じゃねェんだぞ。」


「うっ…うん…」


ゾロの指摘に苦い顔をする。


そもそも自分自身は受け流す剣技の方が向いているのに、なんとか使わないように戦おうとするあまりそうなるのだ。


これは改善してはならないことだ。

しかし無駄がありすぎると言う点に関しては出来るだけ改善していく必要がある。


「わ、かった…」


しょんぼりと項垂れる。


「じゃあこれからは毎日手合わせしてよ。短い時間でいいからさ。」

「…臨むところだ。」

「死合いじゃないから!手合わせだから!船尾狭いから!海落ちるから!」


ニヤリと笑ったゾロに慌てて付け加える。


「甘いんだよ、お前は。剣士たるもの手を抜くもんじゃねェ。」


ゾロがちらりと名無し子に目を向け言い放つ。





「今日のもな。」


ギクリ、


「手を抜いた訳じゃないよ!」


慌てて名無し子が弁解する。

「どーだかな。」

「あ!焼けてしまう!倉庫に避難しないと!!」

「この女男がッ!」

名無し子は話を切って船尾から倉庫に向かおうと階段を走り降りる。


ずるっ!


「ぅあッ!」

ボスっ

足を滑らせた名無し子が変な声をあげると、直ぐに何かが名無し子を受け止めた。


「なーにやってんだ、てめェは。」

「ぉわ、サンジ…!」

「つーか軽いなお前。飯やっぱ足んねェか?」


でもお前食いが悪いからなー、などと言いながらサンジは名無し子の体を弄る。


「ぎゃー!触るなーっ!」

「うるせェ。」


一段高い位置からゾロが名無し子の首根っこを掴んで引き上げる。

「あぁ?何だァマリモ。」

「あ゙?うるせェからうるせェっつったんだ。ぐる眉。」

「んだとッ!」

「ちょ、止めなよ二人とも…」

ゾロから離された名無し子は二人の間に立って仲裁に入る。

そこにナミの声が割り込んだ。


「ほら、あんた達!もう着くわよ!」

「はぁ〜い!ナミすわぁんvv」


(……全く…)









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