竜の目

□第四話・故郷
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アーロンパークに戻ると、アーロンパークの上側から机や家具や沢山の海図が降って来るのを見た。


なぜだかわからなかったけど、きっとルフィはナミを助けることが出来たんだろうと思う。



もしあの時、ルフィがあの島にいたら。なんて、普段はしない有り得ない思考に自嘲した。








だけど、だからこそ、










この島にルフィが来て、ナミのしてきたことが報われて、本当によかったと思う。






ねぇ名無し子、いつかあたしがしていることも報われる日がくるだろうか。

















★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★




















「ナミ!!!」

ルフィはかつてアーロンパークだった瓦礫の上に立ち、ナミを呼んだ。


名無し子は静かに塀に背を預け、ルフィの言葉を聞いた。


「お前はおれの仲間だ!!!!」


「………うん!!!」


ルフィがアーロンに勝ったのだ。



「アーロンパークが落ちたァ!!!!」


崩れたアーロンパークを前に、村人は歓声をあげた。

「しししし!!」

当のルフィも嬉しそうに笑う。









ザン!!



「そこまでだ貴様らァ!!!」


「!!?」


「チッチッチッチッチッ!!!」

「あいつは…!!」


どうやら海軍の人間らしきネズミ顔の人物が、多くの部下と共に歓声に沸いている村人達の前に現れた。


「全員武器を捨てろ!!!貴様らの手柄、この海軍代16支部大佐ネズミがもらったァあ!!!あああああっ!!?」

「!!!?」

突然ネズミは悲鳴を上げる。

「ゾロ!!」

「人が大いに喜んでる所に、水差すんじゃねェよ。」







うるさく騒ぐ海軍は、数秒後には結局魚人達の二の舞の状態になったのだった。













「おばえらおでに手ェ出してびろ。ただじゃすばないがらなァ?」

「まだ言ってんのか…」


泣きながらもネズミは偉そうな姿勢は変えなかった。

ばすっ

ナミがルフィの頭に麦わら帽子を返す。

そしてネズミの目の前にしゃがみ込んだ。


「ノジコを撃った分と…ベルメールさんのみかん畑をぐちゃぐちゃにしてくれた分…」


そういうとナミは思い切り、





バキン!!



「!!!!?」



ネズミを殴りつけた。

ザバァァ!!

そして海に突っ込むネズミ。


「大佐ァア!!!」

「ありがと!ナミ!スッキリしたよ。」

「あと千発ぐらい入れてやれ!!」

「ふぱはァ!!!」

「あんた達はこれから魚人の片付け!!ゴザ復興に協力!!アーロンパークに残った金品には一切関与しないこと!!あれは島のお金なの。それともう一つ、」

「いで――いで――ゆーとーりにしばす!!」

海から上がったネズミのひげをギリギリと引っ張って強い口調で言っていく。そして更に力を込めると、



「私のお金返して!!!」

「がえすっすがえすっす!」


ナミが一通りの要求を伝えられると、ネズミたちは復讐するだのと叫びながら海を泳いで行った。




「さァみんな!!!私達だけ喜びにひたってる場合じゃないぞ!!!」

「この大事件を島の全員に知らせてやろう!!!」

「アーロンパークはもう滅んだんだ!!!」

村人たちは走って他の島の人々のところに向かってしまった。

(勝ったのか…よく考えれば、無謀だったよね…。)



などと名無し子が思っていると、サンジと目があった。

サンジの目にハートが浮かんだかと思うと、名無し子に向かって猛ダッシュ。


「綺麗なお姉さぁ〜んv以前どこかでお会いしたことがある気がしますねv前世、」

「名無し子だけど?ふざけないでくれるかな。」

チャキッ!

近づいて来たサンジにすかさず刀の先を向けた。

それを聞くやいなや、サンジは両手を地に付けうなだれる。


「男…!男におれは…おれは…!」

「名無し子の旦那っ!」

「無事だったんすね!」

「いや、さっきからそこの塀に居たけど。」

喜ぶヨサクとジョニーに突っ込む。

「それより目隠しとってくれない?」

「わかりやした!」

目隠しを取り行くヨサクに、針に毒があるかも、と補足した。

「旦那、怪我は…?」

「大したことない。それより他に手を貸してやっ、」

「痩せ我慢すんな。」


「…、痩せ我慢なんか、」


べちゃ。

「……ッ!!」

ガクン、

ガシッ




「コートが黒ェから見えにくいが、かなりやられてる。」

名無し子の腹を叩いたゾロの手と、名無し子を支える腕から血が滴る。

「…ッは、…ゾロに言われたく、ないな…」

ゾロの腕から体を離すと、見たところまだ軽傷なウソップに声をかける。


「…ウソップ、肩貸してくれる?」

「いいけどよ、キツいんじゃねぇか?」

「へ?」

「身長差結構あるだろ。」

「ち、ちび扱いしたら斬る!」


再び刀に名無し子が手をかける。

しかし実際、名無し子はかなり厚底のブーツでナミより少し高いくらいだった。

「ほらっ、あたしに掴まんな!」
名無し子は一度言葉に詰まるが、

「…ありがと…」

仕方なく諦め、ノジコの言葉に甘えることにした。















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