バジル受け小説

□藍眼ト黒ノ瞳
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最近、僕の家に勝手に侵入してるヤツがいる。

それどころか寝泊まりしてるらしい。
いつの間にか布団の数が一式分増えているし。

・・・と言う事は
僕の知らない誰かが、いつの間にかこの家に住んでいるということになる。
家といってもマンションだが。

『いつの間にか』と言うと違和感を覚えるかもしれないが、ホントにいつの間にかだった。

僕が起きる前にヤツは出かけているらしく、まず朝は顔を合わせられない。
二三日前から軽い朝食が用意されてたような気もするが、寝ぼけていたので特に何も考えず食べてしまった。

無論昼は学校に行っているので知らない。

夜。
ヤツが帰る時間と僕が寝る時間が上手い具合に擦れ違うらしいのでやはり顔を合わせない。

なので誰かが家に勝手に上げっているなど、ましてや寝泊まりしているなど気付きもしなかった。

そして今日。
すこし遅めだが、僕もどうもおかしいと思い始めた。

用意されてる食事。
綺麗になっている部屋。
洗濯された衣類。

気持ちが悪い。
掃除、洗濯はともかく、料理。
僕は顔も知らないヤツが作ったモノを食べていたのか。
変なものが入っているかもしれないのに。不覚。

だから今日は不法侵入者の顔を見てやろう。そして咬み殺してやろうと思って寝ないで待ち伏せていた。



・・・30分くらいたったかな。
時計のカチコチという音がやけに大きく聞こえる。

さらに30分。
元々夜遅くまで起きていることはあまりないのでだんだん眠くなってきた。飽きたし。

少しウツラウツラとし始めたところでやっと動いた。

覚醒はしていないが、いつもの生活から耳が研澄まされたらしく、控えめにドアが開く音にすぐに気付いた。

ドアの音同様、静かな足取りでリビングにやってくる。
僕が寝ていると思って気を使っているのだろうか。

でもそんな親切心どうでもいいと思って、愛用のトンファー手に持ちを立ち上がった。
気付かれないように電気は消してあるが、大分暗闇に目が慣れてきたので人影ぐらいは分かる。

リビングのドアが開いたらすぐに襲いかかろう・・そう思ってじりじりドアに近づいた。

ドアが開くと予想外なシルエット。

男・・・と言うより少年。ヤケに細身の。

少しビックリしていたのでトンファーを振るのを忘れていた。
まぁ咬み殺すのは顔を見てからでも良いだろう。

「あ・・・」
そいつは少し驚いたように声をあげた。
高い声だ。暗くて顔まではよく見えない。

「雲雀殿。まだ起きてらっしゃったんですか?」

「・・・君は誰?」

僕は知らないのに相手は自分の事を知っているのが何となくいけ好かなくて、ぶっきらぼうに聞いた。

「え・・・?ああ!自己紹介がまだでしたね。」

すっかり忘れていたといった感じでハキハキと答えた。

「拙者は門外顧問チームのバジルと申します。これからよろしくお願いしますね!」

これから・・・よろしく?
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