バジル受け小説

□藍眼ト黒ノ瞳
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ソイツは自分のことをバジルだと言った。


・・・変な名前を付けるのが好きな親なのか?
と言うより『ばじる』なんて植物の名前だけどどんな字で書くんだ。

最初はそんな事を考えていたが、電気をつけて彼の姿を見ると納得出来た。

見事なブルーアイと美しい栗色の髪。外人だった。

姿を見て思い出した・・・確か前、夜に学校に不法侵入した草食動物の中にいた気がする。
その時は相手を痛めつけるのに夢中だったから気にもとめなかったけど。

知らないヤツがいるな・・・その程度。
名前なんて知る由もないし、別に知りたくもなかった。

それにしても拙者?変な一人称。
同い年くらいなのに律儀に敬語を使っているし。

まぁ僕は目上でもなんでも普通に喋るから、違和感を感じるだけかも。

身長は・・・僕より10センチくらい下かな。

ハッとした。

どうしたんだ。僕は。

こんな呑気に分析している場合ではないのに。

「あ・・・!」

小さく自称『バジル』は叫ぶと、パタパタと元来た場所を戻り、そのまま玄関から外へ・・・え?


逃げ・・・られた?

ちょっと呆然となって五六秒立ち尽くしていた。

追おうかとも思ったが・・・眠いしいいや。



朝。起きるとバジルがいた。

起きるというか起こされた。

学校に行くんじゃないんですかっと喧しく耳元で喚かれ、仕方なく体を起しモソモソと制服に着替えていたら早くしろと急かされて、口の中にポンポンと目玉焼きやらトーストやらを詰め込まれたかと思うと、顔を洗うと言うより顔に水ぶっかけられていつの間にか外に出された。


別に遅刻したって何の問題もないのに。

何故見ず知らずの人間の世話なんて焼くんだろうあの子は。
眠い所を叩き起こされたのは不愉快だか、こんな風に尻に敷かれるのは初めてだった。


なんて言うか・・・不思議な感じ。新感覚?

僕には世話なんておろか、だれも怖がって近づこうとしないから。


変なヤツ。それともまだ僕がどんなヤツか知らないのか?


そういえばあの子は逃げたのに、なんで帰ってきたんだろう。
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