etcetera

□エマさんの心配事
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「……ん」

どこかで何かが鳴っている。一向に止まない音のせいで起こされたアキラは仕方無く室内を探した。
全くこっちは痛くて動きたくないんだぞ…。
胸の内でぼやいている内に、私物の中から音源が出てきた。

「通信機…?」

エマから渡された一方的な連絡手段。結局使わない儘ここまで来てしまったが。
少しの間どうするか悩んだアキラは溜め息を吐き、それにしてもあいつ案外無用心だなと思いながら耳を当てた。

「今更何のつもりだ」
「勿論状況確認に決まっている。どこまで王を堕とせたかについてな」

後半耳を塞ぎたくなるような返答にもアキラは耐えた。そして素直に報告する。

「…堕とすどころか……なんて言うか、いいように捕まえられてる」
「なんだと…?」

女の声から伝わる不快感。機械の向こうで折角猫の素質を見込んでとか王好みの反抗的なタイプがどうとかぼやいていたが、アキラは無視を決め込んだ。
あーはいはいと流されて、エマが諭すような口調に改める。
 
「いいかよく聞け。さっさと王をたぶらかして支配権を握れ。でないとお前は確実に…」
「冤罪で終身刑ってか?」
「いや、シキの所有物だ」
「まんまじゃねぇかァアアアア!!!」

そんなこと言う為に繋いできたのかと怒るアキラが床に叩き付けたせいで、通信機は無惨に壊れてしまった。


 
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