Ilegenes

□みんな貴方が好きなんです
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「だーかーらー。俺がやるって言ってるじゃんか」
「おまえは人の面倒なんか見たことないだろ?慣れない真似はするもんじゃない」

ベッドの住人を挟んだ右と左でレイとジェイクが争っている。彼らが掴んで互いに譲らないのは、昼食をのせた皿と銀のフォーク。二方向から力の加わる皿は容易く均衡が崩れそうで非常に危なっかしい。
今にも料理が飛ぶのではないか。やや冷めた視線を投げ掛ける孔雀眼を他所に、無益ないさかいは続く。

「そりゃあんた程上手くはいかないかもしれないけどさ。フォンだってこんな中年に介護されてばっかりじゃ飽きるよな?」
「若造は引っ込んでろ。ここはその中年に任せとけ」
「二人だけで盛り上がらないでよ。俺だってフォンにあーんってしたい!」

うっすら青筋を立てているレイとジェイク。更にアンジェも脇から縋ってくる。
当の自分の意思など全く無視して話を進める三人を眺め、ベッドヘッドに寄りかかったフォンが溜め息を洩らした。
 
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