トライアングル
□プロローグ
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今日もパパとママ遅いな…。
また今日もご飯ひとりで食べるのか…。
両親は仕事で帰りが遅くなることが多く、名無しさんがひとりで夜を過ごす日も少なくなかった。
『いただきます…』
名無しさんはだれもいない部屋で合掌をし、ご飯を食べていると、玄関の開く音が聞こえてきた。
ママ「ただいま〜!遅くなってごめんね」
母が帰宅し、謝りながら名無しさんのいるリビングに向かった。
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リビングでは名無しさんがひとりでテレビを見ているところだった。
『おかえり』
ママ「ただいま!今日はね…名無しさんに大事な話があるの」
部屋に入るなり母は名無しさんの隣に座ると突然そう告げた。
『大事な話?…なに?』
ママ「実はね、ママとパパは来月からイギリスに半年間転勤になったの…。」
『えっ?イギリス?』
いきなりイギリスって言われも…。
私まだ中学生だし、やっぱ一緒に行かなきゃいけないのかな?
知らない場所に行くなんて嫌だよ。
自問自答をしていると、不安な気持ちがわかったのかママは笑って「名無しさんは日本に残りなさい」って言ってくれた。
『えっ?残っていいの?』
ママ「いいわ。でもひとりで残すのは心配だからね、パパとママの昔からの友達の家にお世話になるのが条件よ」
『ママたちの友達の家?』
「そう。忍足さんって言ってねすごくいい人たちだから。もう忍足さんには話してokもらったわ」
『そう……』