宍戸義妹
□Story14
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振り向くと、私の腕を掴んでいたのは亮くんだった。
『亮…くん』
亮「名無しさん?!」
私の顔を見た亮くんは驚きながら名前を呼んだ。
亮「どうしてここに?」
『ごめんなさい!亮くんが気になって…。後つけちゃいました』
いい言い訳も思い付かず、正直に話す。
はぁ…っと頭上で大きなため息が聞こえたかと思うと、優しい亮くんの声がした。
「名無しさん……。心配かけちまったな。ごめんな」
亮くんは私の頭を撫でながら、顔を覗き込む。
『私こそ練習の邪魔して、ごめんなさい』
亮「いいって。それより怪我してんじゃねぇのか?」
私の膝を指差す亮くん。
『あっ…』
擦りむけた両膝からは血が流れていた。
それを見て、膝の消毒をしてくれた亮くん。
亮「暗いから気をつけろよ」
『うん、ありがとう』
それから練習を切り上げた、亮くんと鳳先輩と一緒に並んで帰った。