ナルト置き場

□始まり
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「……?」
 
目を開けると、決して綺麗とは言えない天井がぼやけて見えた。
 
 
あぁそうか、とキバは思った。
自分はサスケ奪還チームに加わり、敵と戦ったのだ。
 
だが、砂の里の応援がなければきっと負けていた。
途中までは圧していた時もあったが、さすがに2人相手はきつかった。
砂の里のカンクロウとかいう奴が敵の2人を倒した所までは覚えているが、その後はたぶん気を失ったのであろう、何も覚えていなかった。
 
 
 
起き上がろうとするが、まだ上半身を起こす事も出来ない。
頭だけ少し浮かせて横を見ると、花瓶に花が、籠には果物が入っていた。
 
 
「……カッコ悪…」
 
きっと、赤丸も何処かで重症なのだろう。
 
自分の弱さが、悔しかった。
 
 
 
 
 
 
 
 
数週間後、キバはもう病院内を歩き回るくらいには回復していた。
 
赤丸も命に別状はないようで、今は食欲も出てきて回復は順調だという。
 
結局、こちら側に死者は出なかったものの、ネジなんかはかなり危ない所までいったらしい。
それでもネジは1人で敵を倒した。
ナルトも、サスケと戦い大怪我をしたと聞いた。
サスケは取り戻せなかったらしいが。
 
自分なんか、助けてもらった上、こんなのすぐ治るような傷だ。
 
 
――もっと、強くなりたい。
 
考えれば考える程、惨めになってくる。
 
歩き回る事は許されたものの、修行は絶対禁止と厳しく言われてしまった。
なのでする事がない。
 
 
キバは、病院の裏庭のベンチに腰かけて性に合わない考え事をするのが日課になっていた。
 
 
――と、普段滅多に人など来ない裏庭に、キバ以外の人が来た。
逆光で顔は良く見えないが、女の人のようだ。
白く長い髪に、紫色の綺麗な着物。
子供ではないようだが、まだ若そうだった。
自分と同じか、あるいは少し年上か…。
 
その女はキバが座っているベンチの横まで来ると、隣に静かに座った。
だが女は前髪で右目が隠れていたため、左に座られたキバは顔を見ることは出来なかった。
 
 
 
「…………」
 
沈黙が続いた。
先に声を発したのはキバだった。
 
 
「あの…誰かの見舞いですか…?」
 
一応、慣れない敬語を使う。
 
「えぇ。でも、元気そうで良かったです」
 
女はこちらを見ずに答えた。
低めの声であった。
 
「…そうですか。それは良かったですね」
 
そう言うしかなかった。
 
「はい。本当に心配だったんです。頑張って来たかいがありました。――貴方に会いに」
 
 
「――………は?」
 
 
思わず女を見ると、むこうも笑顔でこちらを見ていた。
綺麗な人だった。
 
ただ、何処かで見た事がある気がした。
 
 
 
「あの…俺達、何処かで会いました?」
 
「えぇ」
 
即答された。
 
 
「本当に………会いたかったぁ〜!!」
 
女はそう言いながら、いきなりキバに抱きついてきた。
 
「なっ?!は?!」
 
訳がわからずにされるがままになっているキバ。
なんとか女を押し戻して落ち着く。
 
「あの〜…申し訳ないんですが、まだ貴方の事思い出せないんですけど…」
 
「っ?!ホントに?!」
 
さも意外だと言わんばかりに驚く女。
さっきのよそよそしい雰囲気とは何か違っていた。
 
そしてまた顔を近づけてきて「本当〜に思い出せないの?」と言った。
 
「はい、思い……――」
 
そこでキバの言葉が途切れた。
女の顔をまじまじと見直す。
 
 
次の瞬間、「あ――っ!!おまえっ!!」という叫び声が裏庭に響いた。
 
その様子を満足そうに見て、女は今度はあやしく笑い、言った。
 
 
 
「やっと思い出してくれた。数週間ぶりだね」
 
 
 
 
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