Long Story
□第十五夜
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同時刻、司令室。
「室長ーーー。今回の彼らの任務、わざとファインダーを連れていけない状況を作ったでしょう。」
たくさんの未処理の書類を持って司令室に入ってきたのは、明るい茶髪の髪をした若い男。
科学班班長のリーバー・ウェンハムである。
毎日のきつい仕事のせいか、無精髭を生やし、だらしなく白衣を着崩している。
「あ、バレた?」
コムイ・リー。
見上げるような長身の中国人で、間もなく三十歳になろうとする実年齢より少し老成した雰囲気がある。
だがその実、科学オタクで、子供のように好奇心旺盛で無邪気な一面も持っている。
科学班をはじめ、部下からは厚い信頼を寄せられている。
しかし、容赦なく膨大な量の仕事を押し付けるときは、彼らの目に殺意が浮かんではいるが。
「ルイの過去の話はしただろう?それもあってファインダーを連れていくと精神的にきついところがあるんじゃないかと考えたんだ。まだ最初の任務だしね。」
ファインダーを見ると両親のことを彷彿とさせ、つらい思いをさせてしまう、コムイはそう考えたのだろう。
マグカップを手に持ち、コーヒーを啜る。
「ただ機密事項が漏れていたのは問題だよね、リーバー君。」
「す、すみません。」
これを管理するのは部下の問題であろう。