Short Story
□二人を結ぶ奇跡
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深夜0時、北極点アイスランド。
任務を終えた神田は外を歩いていた。
コートがはためくこの遠い寒冷の地で、イノセンスの情報がまた外れだったことに肩を落としていた。
「またか……」
頭を過るのは愛しい恋人の笑顔。
エクソシストである限り、この恋が苦しいものだとはわかっていた。
任務が重なり、会えない日々。
それでも神田は、恋をした。
「…ラビ…」
顔を上げ、夜空を仰ぎみる。
告白をして数か月。
手をつなぐどころか、まだキスさえしたこともない。
唇を噛みしめ、瞳に輝く星たちを映す。
「お前は今、何処にいる…?」
その時だった。
突然、しかしゆっくりと、夜空に光のカーテンが降り注ぐ。
「ッ、これは…」
風に踊らされているかのように、揺れ動く虹色の光。
オーロラだ
美しいその輝きに目を奪われ、心を奪われる。
真っ直ぐな光が踊りながら、地上へと降り注ぐ。
「ラビにも見せたかった…」
一人ではこの美しさを支えきれなくて。
誰か共有できる人はいないかと、ラビの姿を思い浮かべた。