押入れ

□たった一人
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<たった一人> 〜一護side〜

新入生が入ってきた後の下校は面倒。
ああまた見たことない面の一年ボウズが、びっくりしたように俺を見る。
たく、なんか文句あんのかっての。

会う奴会う奴まずはこの髪を見やがって。
いい加減慣れたとはいえ、正直ウザい。
自分とは別な奴を見るようなその目が。

そんな好奇の目の中に、全く違う視線を感じて振り向いた。
見上げた先には俺の名を呼び手を振るあいつ。
おいおい・・・そんな遠くからじゃ普通わかんねーぜ?
苦笑しながら手を振り返す。

そうだあいつの目はいつも温かさに溢れてる。
俺のこんな髪の色も、この目付きの悪さも、すべて包んでくれるような心地よさ。
だからこんなに遠くても何故か気がつくんだぜ?
不思議なんだよな、たった一人だけ。

再び校門に向かって歩く俺には相変わらずぶしつけな視線が投げかけられる。
でも、もう気になんねぇ。
どんな大勢の奴らにどう見られても、本当に見ていてくれる奴がいるんだからな。

      end
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