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□太陽の居る朝
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<太陽の居る朝>
花みたいだ・・・
「おっはよー黒崎くん!」
挨拶と共に見せる屈託ない笑顔から目が離せなくなったのは何故だろう?
朝の陽の光、黒板の緑、机の薄茶、制服のリボンの赤、カーディガンの黄色。
冬に向かっていてもここは色に満ちている。
白い砂と白い木々、暗い空の白い月にだけ照らされたモノトーンの世界とはかけ離れて。
何故か心に浮かぶはその白を纏ったお前。
「黒崎くん、死なないで」
涙を浮かべたその顔を。
そして虚化した俺を見る強張った表情をも。
・・・思い出したくない記憶を振り払いながらその笑顔を見つめた。
そうだ俺達は帰ってきたんだ。この太陽の下の、色鮮やかな世界に。
太陽に照らされて、いや太陽のように輝く、幸せな笑顔。
以前と同じ、朝の挨拶と友人に囲まれて花開く笑顔。
大丈夫、すべていつもの通り・・・
目が合った、気がした。
途端に翳るその表情。
困ったような、どうしたらいいかわからないような。
・・・俺か?
お前の笑顔を曇らせるのは、俺なのか?
心配させて、怖がらせて あの時も そのまえも ・・・ ?
胸に湧き上がる黒く重い、つくんとした痛み。
「いっちご〜おっはよ〜〜ぐほうっ!!」
その感情は形を成す前に崩された。
そうだ、いつもと同じ学校の朝だ。
いつもに戻ったんだ、いつもに・・・
そう胸の奥底に沈める、いつもでない感情。
モット ミツメテ イタカッタ
モット ワラッテ ホシカッタ
デモ
オレニ ソレヲ ノゾム シカク ハ ・ ・ ・
ソレデモ ドウシテモ ホシイ モノ
キヅカヌ フリヲ ツヅケタ ヒビ
そしてこれが
いつもの朝を
変えてしまいたいと思った
始まり