押入れ
□6月17日
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6月は青が似合うと思う
ほら、水って青のイメージだし?
(ホントは透明なのになんでかな?)
道端で雨に潤う紫陽花は
リトマス試験紙みたいに変わりゆく青色
そして、そして、何よりも
雨上がりの雲間に覗く空の色は
他のどんな季節より眩しいくらいの青だから
−空を映す窓から目を落とせば
整然とした教室のその席は
今日は主を失って
ぽつりと寂しく空いている−
あたしはそっと願います
この雨上がりの澄みきった空の青が
今その下で終わらぬ思いを馳せる
その人の心を癒さんことを
日差しを受けて輝く紫陽花が
その目に留まって和ますことを
それともそれとも願わくば
水溜りに映った空にまで
大きな虹がかかればいいのに
−−−あたしには なにも できないから−−−
この日の意味を知ったとき
6月は少しの青みを増した
暗く沈む闇の青みを
同時に静かな同調を
亡くした人への悔恨は
今も心にしゃがみこみ
繰言ばかりを口にする
’どうして どうして どうして・・・?’
髪に挿したヘアピンにそっと手をやる
そしてもう一度強く思う
そう
大切な想いは
何があっても消えずに残るの
だから
だから
大切な人の想いが残るこの世界は
いつもこんなにやさしくてきれいで
そしてずっと語りかけてくれてるの
大丈夫だよ
生きていけるよ
・・・大好きだよ
そう知ったから
だからせめて
静かにこんこんと湛えられた6月の青の
そのやさしい色に埋もれて
あなたの心が少しでも安らげることを
大切な小さな青い花にただ願いましょう
<6月17日>
end