押入れ

□こいのぼり
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大きい まごいは お父さん
小さい ひごいは 子どもたち


ねぇおにいちゃん?
おにいちゃんと、あたしは?


<こいのぼり>



お支度するもの、紙とはさみとクレヨン。
待っててね?見ちゃだめだよ?


「まだかい織姫?」
「まだー!」


先生に教わったとおりに形を作って切って。
あとはクレヨンで塗ってぬって塗って。


「できたよおにいちゃん!!じゃーん!」
「おっこいのぼりかー!上手につくれたね織姫。」
「えへへー」
「でも2匹だけなんだね。もっと増やすのかい?」
「ううん」
「?」
「あのね、これはね!『おにいちゃんとあたしのぼり』なの!!だから2匹でいいんだよ?」



こいのぼりを見るたび思ってたの。
青い鯉は絶対おにいちゃん。
だってお空の色と一緒だから。

でも・・・あたしは?
あの赤いこいのぼりはおにいちゃんのぼりより大きいから違うし。
・・・あたしはどこ??


そう思うと悲しくなっちゃうから、こう考えたの。
およそのお家に泳いでるのは、およそのお家のぼり。
うちにはうちのこいのぼりがあるんだって。
だから自分で作ったんだよ?



「大きい青いのがぼくで、ちっちゃいオレンジのが織姫?なの?」
こくこく頷くあたしにちょっと笑いかけてまたこいのぼりを見て。
「織姫は可愛いピンクか赤かと思ってたよ、おにいちゃんは」
「ううんこれがいいの!」


だってね、おにいちゃん。
あたしのぼりだからあたしの髪の色にしようと思ったの。
でも茶色じゃ濃すぎて黄色じゃ明るすぎて。
あたしのクレヨンで一番近そうな色がこれだったんだよ?


「そうだね、オレンジも綺麗でいいよね。織姫に似合ってるね?」
そうしておにいちゃんはうれしそうに笑って言ってくれたの。
「ありがとう織姫。『おにいちゃんと織姫のぼり』壁に飾っておこうね?」


おにいちゃんがよろこんでくれたのが本当にうれしくて。
壁に貼った『おにいちゃんとあたしのぼり』をいつも眺めていたの。
もう外でおよその家のぼりを見ても、寂しくなることなんてないよね?



そうしてそのうちに。

あたしはオレンジ色が、大好きになっちゃったの。



       end

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