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□たった一人
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<たった一人> 〜織姫side〜

新入学生を迎えた学校。
見下ろす下校時間の校庭は三分の一が知らない顔。

あの人、背が高いね。
あ、あっちの人は髪型おもしろーい。

そんな中あたしは必ず見つけてしまうの。
あのオレンジ色の髪の毛を。

ううん、きっと誰でも思わず見つけてしまうね。
だってその髪は本当にお日様みたいだから。
誰だってお日様は好きだよね?
ほら、校庭の中のあの人もあの人も驚いたように見てる。

もしあの髪が普通に黒かったら?
こんなにみんなが見たりしないかな?
周りと同じ、大勢の中に入ってしまうかも?

でもね、でもね。
それでもあたしはきっとあなたを見つける。
どんなに沢山人がいても、どんなに遠く離れてても。
どんな暗闇に呑み込まれていても。
きっときっと見つけてしまうの。
たった一人のあなただけを。


うん、たぶん、きっと。
あたしの知らないあの人だってその人だって、
きっと誰かにとってのたった一人。

不思議だね。
こんなに大勢居ても誰もが誰かの必ず見つけるたった一人。

           end
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