彩りの始業鈴2
□彩りの始業鈴V−8
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「何か用か?」
「浴衣貸して?」
「俺の・・・・・?」
彩鈴と話している若い男性は何で?と明らかに疑問そうな表情を見せる。
まだ俺の存在に気付いてないからな。
「うん。
あのね・・・・・、高杉くん浴衣持ってないから・・・・・」
「あ〜、なるほど。で、高杉君は?」
「そこにいるよ」
ヴァイオリンを1度中に置いてから、彼がこちらに姿を現した。
俺の父さんより背ェ高いな。
しかも、また豪く顔の整った兄貴だな。
両親の顔が見てみたい。
「・・・・・やっぱり」
彼は俺の顔を見て懐かしむように笑った。
初対面なのに何がやっぱりなんだろうか?
「一応、初めましてかな。
俺は雅 最戈」
「高杉 晋助です」
サイカって言うのか。
・・・・・・・・サイカ?!
そういやさっきヴァイオリン持ってたよな?
じゃあやっぱり・・・・・。
「嘘、だろ・・・・・」
「どうかしたか?」
「アンタがあの19歳で引退したヴァイオリニスト?!」
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