彩りの始業鈴
□彩りの始業鈴T−5
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『あと・・・・・起き上がらないでね』
少し小声で赤い顔をしている。
・・・?
『あっ、お粥作ったけど食べる?』
急に表情が変わった。
だが、いつもみたいに明るい笑顔じゃなかった。
生憎、今は声が出ない。
「あぁ・・・」
『絶対そこから動かないでね!!』
何かあったのか?
1つ分かったのは、彩鈴の笑顔がいつもと違うことと、俺に動くなって言っていることに繋がりは多分ない。
上体だけ起こすと、額にのせていたタオルが落ちた。
まだ頭が重い。
俺が寝込むなんて何年振りだろう。
『熱いから気をつけてね。
味は大丈夫だと思うよ』
彩鈴が持って来たのは梅干しと卵を入れたシンプルな粥だった。
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