drylove

言い訳
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運命なんてもう信じない。



私は希望を持っていた。





そう…











貴方は









絶対私を忘れない。













そう











羽を見られた日



私は彼にあげたから。












私の感情、精神の半分を…




















「ひぅっ……ッ」




半泣きになりながらもうやめてと訴える名無しさんの瞳。恋次は集中出来なかった。

「はいはい、もう終わるわよ」




キュィィイイインッ










ー不要データ削除ー







「うわっあっだめッ」








名無しさん!!まって!!!まって!!!!





行かないで…
教えて…






私は何の為に此処に居るの?











彼女はヒトでも死神でもなくなった。
彼等は完全足る安全を求め彼女の不要なデータはリアルタイムに削除される。

それは彼女の意志に関係無く。





涙が流れない。








だって、悲しく無いんだもの。







「名無しさん!!待って!!!!行かないでぇえ!!」













キュィィイイイン.....ッ










消された。





何を消されたかは、解らない。




「松本…私今何してたの?」








私の意志は要らない。


私は危険だから監視サレル。危険だから記憶をケサレル。



理由はそれだけ。



無音が虚しく騒ぐ。





乱菊は下唇を噛んだ。
羽を撫で、優しく笑う。




「松本?泣いているのか?」




「ッ…………名無しさんを返して何て言っても無駄よね」






乱菊の涙に恐る恐る触れ拭う。名無しさんは[笑う]。



「ごめんなさい、私は名無しさんにはなれないから」






名無しさんに抱き着き、乱菊は涙を落とした。
名無しさんはただただぼっとしていた。この場合どうしたら良いか解らないから。

恋次は机に拳をたたき付けた。



「…クソッ」




笑わなくなる。
泣かなくなる。
喜ばなくなる。





苦しまなくなる。



彼女は名無しさんであって名無しさんでない。



「名無しさんは、死んだの……だから私が造られた。名無しさんは、もう帰らない。」











ありがとうと呟き名無しさんは立ち去る。













彼女の模造はやめて。


名無しさんって呼ばれる度恥ずかしいの。私は名無しさんじゃないから。名無しさんって呼ばれる度私は苛々する。名無しさんはあなたたちが殺した癖に私を名無しさんと何故呼ぶの?






名無しさんじゃないの






名無しさんになりたい。










だけど貴女は大きすぎる。
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