drylove

無意識
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「卯ノ花と涅だな」

「はぃ……お願い…し………ます」


そっと名無しさんの手を布団に戻し名無しさんは微笑む
白哉は、頷くと瞬歩で立ち去る



すうっと眠りにつこうとした時だった、身体に異変を感じた
恋次がタオルを絞り額に乗せようとすると名無しさんは、頭から布団を勢いよく被る



「ッ…」


「!オイ、名無しさん!」


「今の…あんたは…………ダメ…見……ないで……!!!」





布団の中が不自然に膨らむ
名無しさんが震えているのがわかった

烏の羽が一枚見えた

溜め息混じりに苦笑する。

苛立ちを忘れて布団ごと名無しさんを抱きしめた


「い…や………」




新月は身体の言うことが効かない
だからこうして、黒い翼が出てしまう
恋次は、それもそっと抱きしめて優しい声で言う


「綺麗な羽だな…名無しさん…」


「ッ……れ…んじ……」



「天使みてーだな」


名無しさんは嬉しそうに恋次に身体を預ける
恋次は名前を呼ばれ少し驚いたが嬉しかった






本当にそう思った。黒く長い髪の毛に白い肌、薄ピンクの唇に黒い翼に黒い爪


赤い頬に、涙ぐんでいる瞳


これほど美しい女には会ったことは無くまた、こうして抱きしめるのが当然に思えた





その夜は卯ノ花達が来ても起きなく恋次にくっついて離れなかった




「……みてしまったようだネ、チッ」





ボロボロ落ちてくる名無しさんの羽は、ストレスを意味した。
それだけではないだろう、名無しさんは、十分な食事を取らないと身体の臓器が極端に弱ってしまうのだ。


それも我慢して、こんなに羽をボロボロにしている姿を目にした涅は、舌打ちするしかなかった。









汗をかく名無しさんの額を拭い掴んで放さない名無しさんの隣に寝る







白哉達はそっと出て行った








こいつから何の香水の匂いもしない。ただ、シャンプーの匂いだけ
その匂いが癖になりそうだった。





時々涙を流し時々嬉しそうに微笑む名無しさん

そんな寝顔を見ながら、どんな夢見てんだろうと思いその時間がどんな時間よりも凄く愛おしかった









日が昇るにつれて熱は下がり、恋次も安心したのか名無しさんを抱きしめて眠りについた
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