drylove

嬉しい
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詰所に戻っても誰も居ない
当たり前だ、今は夜中の3時。仮眠したせいか眠くない







そっと綺麗になった隊首室に入る






椅子に座りそっと机を撫でる




「何しにあたしは此処に居るんだろう」









仕事




仕事しなくてはね













チチチチチッ




「ちょ……隊長…神村隊長!」







ゆさゆさと身体が揺らされる。
ゴロンと椅子から落ちる。


「ングッッ……ウゥッヴッ…」


「たっ隊長?」



イズルが心配して名無しさんを覗き込む


名無しさんはお尻を押さえ平気と何度か繰り返し言う。


立ち上がると日が差し込んで眩しい






「朝か、さて仕事だ」

「いえ、今日は隊長非番ですよ?」





「え?」







イズルの言葉に驚く




「後は僕がやっときますから。」




イズルの言葉にズキンと来る
私には無いから。




「あーいや、んと、イズル!はい、あんた今日非番!」






「えっ?えぇっ!?」





名無しさんは意地悪く笑うと詰所から追いやる

「明日になるまで出入り禁止!じゃ」


「あ、ちょ隊長!」


バシンッ
隊員達は満足そうな顔をした



「イズルは詰所にいたら仕事仕事ってなるからねぇ」

「副隊長は、寝不足ですからね」






何てたわいもない会話をして書類を整理していた


予定時間に、帰れる隊員は顔色が優れていた。


名無しさんはお腹が空いたという奴の為にお握りを作る
エプロンに、三角巾をきちんと付けて髪を結び鼻歌混じりに握る




「いち、にいさん…まぁこんなもんか」





一人の隊員が走ってくる。それに気付き振り返る。


「隊長!朽木隊長がお見えです。」



「わかった、今行く」



トレイを持ちパタパタスリッパで歩いて行く






「お待たせしました、朽木隊長」






頬に米粒を付けて言う名無しさんに、無言で取ってやる。恋次はそれを機嫌悪そうに見ている


名無しさんはそれには気付かず照れる





「……すみません…朽木隊長」





「気にするな、それより話しがある。」



フッと笑う白哉に、真っ赤にして、案内する名無しさん






部屋ではお茶とお握り三つ机に乗っている





恋次はア然とする。あまりのいびつな形に





「お前が作ったのか?!」



「そうだけど?」




「女の癖に握り飯も作れないのかよ…」










流石に泣きそうだった。




はじめて料理を作った時これを作ってウマイと言ってくれたのは恋次だから。





涙が止まらない









「食べないで!!!」








恋次に、向かい怒鳴る





「あんたには食べてほしくないの」



「あーそ」









白哉が立ち上がり名無しさんの涙を拭う
恋次はやっと名無しさんが泣いていたことに気付く





「すみませんッ朽木隊長……」


「気にするな……」



名無しさんはぎゅっと白哉の袖を掴む
恋次はそれを見て身体が勝手に動く

名無しさんの手を引っ張る





白哉も名無しさんも恋次自身も驚く



気まずい空気が流れる




はっとして、恋次は手を離す



嫌というかそれは許せなかったから。

白哉はあからさまに怒っている。名無しさんは複雑そうな顔をしていた





「名無しさん、涅に会ったそうだな」


「あ、預かっていたよ」




紙の包みを渡す名無しさん。表情を見れば何とも言えない顔をしていた。



「黙って置いていくから何かと思ったけど、私が使わないとしたら誰かのだなって」



「相変わらず名無しさんには甘い奴だな」




「はい…マユリ隊長は私の恩人ですから」







困ったように笑うと、名無しさんはそっと立ち上がり、資料探しをする。白哉は無言で茶を啜る



「私がこうなったのは仕方なかったんです…幸せになった天罰です」



「天罰か、下らない」






そっと名無しさんを抱きしめようとする。恋次が下唇を噛み締めた時

『触んな!白哉』


「紫紅か…」


『むっつりスケベ』




白哉は紫紅の頬を引っ張る
離すと赤く腫れ文句を言う紫紅。それを見て名無しさんは笑う


白哉は少し口元を緩める











「朽木隊長は相変わらず御優しい」



「それと、名無しさん。家に来い、此処で寝るな」







白哉の優しさに名無しさんはハイと素直に受け取る
恋次は某歯痒くてたまらなかった。








紫紅はぴょんと名無しさんの机に胡座をかく。
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