cat's cradle.

□霧がかった。
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「お前…なんで俺達って言うんだ?」


「は?」


「いやお前達は別の人間だろ?確かに兄妹だけどおかしくねぇか?」


「おかしいのはアンタだ。俺達はすべて一緒だ。喜怒哀楽、すべて一緒なんだ。過ごした時間も価値もすべて」



「…」



「もちろん…お前への憎しみもな」

























―――――――――――…



「千代と…知り合いなのか?」



黒崎一護がそう尋ねる。
私はそれでも質問が頭に留まらず抜けて行った。
それでも私は口を開いていた それはさっき見た彼女を受け止めるため…混乱する頭を整理するため。







神村千代。
高貴…四大貴族だった神村家。
過去の者とは言えその勢力は凄まじい。

隠密を得意としていた元頭首神村千代。

人柄は朗らかで優しく慈愛に満ちていて芯のしっかりとした女性だった。品格で言えばあの方に叶う方は居ない 

その姿を度々街中で見付けたという話しもあったがそれは誠の話し。

彼女は好奇心旺盛でよく一人街娘の格好なんかしてふらふらしていた。




そこである人と出会ったらしい。私はソイツの話ししかしらないが。ソイツも馬鹿で気づかなかったらしい。神村の姫であることを。

そしてちょくちょく顔を会わせるに連れて惹かれていったと。


けど…ある日ばったり約束の場所に来なくなったらしい。


そして神村千代の失踪を知る。
自分と会っていたのが千代様だと知り奴も顔を青ざめていた。





それで…どうして此処にあの方が居るんだ?

なんで…幼子なんか連れて?




そもそも彼女一人でも四大貴族に残れた…なのにそれを拒んだ理由すら解らない。



「千代ってそんなに凄い奴なのか?」


「彼女はあちらの世界の女神の様な存在だ」



時には自ら戦場に赴く。
そして守らせるんじゃなく妖艶に戦う様。
雲の上の人だと分かっていてもそれさえ忘れさせる表情仕種。彼女は…無くてはならない存在だった。元に兄様も彼女の失踪に酷く動揺していた。




「それにあの子供は…」





「その事…あんまり千代に言うとキレるぞ」


そっと黒崎一護を見る。
真剣な眼差しにその言葉の意味を探る。




「アイツの本当の家族は二人なんだ、お前だって兄弟の事をとやかく言われたら気に食わないだろ?」

「っそう……だが…」

「千代は小さい頃に離され、父は政で多忙、自分を育てたのは女中と家老だって…家族であっても家族じゃなかった…父親はいなくても私は三人で家族になるんだって…まだアイツ等が腹に居た頃に言っていた。」

「アイツだって…千代様を……」

「お前話し…聞いてなかったのか?」



ため息を一つついていた。







「千代は旦那なんて元々頭にも視野にも入ってないんだよ、だから父親がいなくてもって言えんだよ」










取り様によって様々な意味に変化する意味深な言葉。千代様の信者、有権者は今だに多い。
彼女は…そんな世界で何を見ていたのだろう?どう見えたのだろう?何故…一人で幼子を?そしてその父親は?アイツのことはどう思っているんだろう?





ただ玄関先で聞こえた笑い声は


貴族でも神村千代様でもない。


母親の様な優しい声音だった。





「私は…」

「千代はああ見えて意外と信念深くて……あんなおっきな子供を二人一気に抱える程の親バカだ。まぁクラスの連中の殆どはしらねぇけど…知ってる奴は知ってるよ」

「何を…だ?」




「千代の行動の意味、俺は半分しかわかんねぇし今だにわかんねぇ事もあるけど…ただ一つ俺が見えるのは…」








黒崎一護の台詞にカルチャーショックを感じた。
貴族にしては未婚の出産なんか有り得ない。末代までの恥以外何物でも無い。なのに…










「人に支えられても…それを申し訳なく思ってもアイツは今まで誰かに頼ろうとはしなかった」













それは千代様の意地?
それとも…なにか他にあるとでも言うのか?




旦那の居ない母親。
私には解らない。



それが憧れていた貴女の考えることだとしても…
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