The girl stared at the boy.


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「千代、君の友人なんだってね?」




「久しぶりね、千代……」








息が、心臓が、いや、僕の世界が止まった。



目の前に居るのは誰だ?




笑うな!その笑顔で!



呼ぶな!その声で!





「室長、私千代につきたいわ」





腕が僕の腕に絡む。





「……やめろ」




「え?」





「千代?」








室長、あんたの陰謀か?
たち悪いな。


そんな事どうでもいい、今はコイツが誰なのかだ。




「僕に触るな」



もし、カノンなら僕の力は効かない。



「どうして?」





「ッ…」




どうして?
それは僕の台詞だ!

何故お前は僕の腕を掴んでいられる?

何故そんな、そんな顔するんだよ……




ギュッと腕を掴まれ、彼女は僕を見上げる。





「お前は誰なんだよ………僕は…僕はおまえを知らない!!!」





「どうゆう事だい?これは……」






黙れ眼鏡…




頭を掻き、僕は深呼吸をした。
落ち着け、落ち着くんだ。カノンは死んだ、死んだはずなんだ!!





「知らない訳無いわ、だって千代だもん。」




「うるさい!お前はカノンじゃない!!」







僕は腕を振り払い、しゃがみ込む。




「室長、あんた悪魔だな」








二人をほったらかし僕は部屋を飛び出た。


糞っ糞ッ


糞!!!




あれは誰だよ!!




僕は殺した。
確かに殺した。



カノンを、この手で殺したんだ!








どうして何だ!?

僕を殺しに来たのか?
君ならカノンになら僕は進んでこの身を捧げるよ。


だけど、どうして―…



君は温かかった。






君は…あの日の君は冷たかった………













「何だ………僕が泣いているのか?…ははっまさかな……僕は今何を感じたんだ……」










何処かも解らない、ただ壁を叩き泣き崩れた。


何故泣いているんだ?
悲しいのか?
嬉しいのか?
腹ただしいのか?










「テメェ人の部屋の前で何してんだ……」








糞ッ




「ッ…ユウか?調度良い僕迷子になっちゃってさ」






涙を拭いて立ち上がる。


愛想が無い彼が目を見開いていた。
僕は、夢でも見ているのか?





「ユウ、僕を殴ってくれないか」

「は?」





夢であってくれ!夢で…






「いつまでも取り乱すなんて千代らしくないわ、私の話しも聞いて下さいよ」










そんな凜とした声で、綺麗な声で僕を呼ぶな!


白い肌。
金色の髪の毛。
赤い瞳。


薄ピンクのくちびる。






ユウがカノンを見て状況が読めないという顔をしている。






彼女は僕の元に走ってくる。目の前で止まり微笑み僕を抱きしめた。









「千代に会いたかったの、会いたくて、謝りたかったの…」




「な、何?」





僕の頬にキスする癖。
抱き着き腕をしめる角度、首に巻き付く様に抱きしめる癖。

全てが僕を硬直させた。






「千代が、殺したのは……お姉ちゃんだよ」










優しく体中に冷たい血液が巡る。僕はユウが居るのも忘れて、彼女突き飛ばした。




「姉?カノンに兄弟が居た!?ッ僕は知らない!!お前は誰だ!?何故僕の力が効かない!?僕は僕のカノンは……」







「私達二人で、千代に会っていたんだ。私達、千代に、惚れてたからね、双子だからってごめんなさい……」











双子!?
笑いが止まらない。
カノンは、双子だった……





じゃあ此処に居るのは、此処に居るのもカノンだって言うのか!?




視界にユウが入り落ち着いた。
彼の冷たい瞳が。
僕の全てを落ち着かせた。
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