曼珠沙華


□遠距離から恋。
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「凜」

「はい?」

「やっぱりカッコイイね、燕青」



君は呆れたように、私にため息をついて読みかけた書簡を置いて私が居た窓際にに来た。
ちらりと外を覗きクスクス笑う。


「また族を引き連れて来たんですね」

「みたいだね…」


私はピアスを外し後ろに回り込む族の目玉に目掛け指で弾く。



「また増えましたね、耳飾り」

「そうだね、最初の二つは初恋なんだよ。」

「では、後のは…?」



燕青が振り返りすっと席を離れ壁によっかかる。




「誰か居るのか?」

「いいえ、それより御用なら表からきちんとお入り下さい」

「いやぁだってよ…」







あの頃から君は変わらない。
君に何十回恋をしたら?
愛したら?



ふられたら…


この恋は冷めるのだろうね。



「凜、私は行くよ」

「もうですか?」

「そうだよ、私は忙しい奴だから」

「…はぁ、解りました。気をつけて下さいね、貴女はそれでなくとも―…」

「はいはい、大丈夫だよ」










廊下ですれ違い私は頭を下げる。貴方は目もくれず通り過ぎる。



あの頃はまだ楽しかった。
思う事が追いかける事が楽しかった。



今は辛い。



ただ、辛いだけ。
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