The girl stared at the boy.


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『ッ………』



次目覚めたら千代ではない。
ごめんなさい。
今の貴女にはつらすぎたのね……

涙を流しているのもきっと解っていなかったのね。

膝の上で眠る千代………



愛してしまってごめんなさい……






貴女を傷付けるつもりではなかった。いぇ、結果がそうなってしまえば意味が無い。

だけど、神田ユウは千代を私から解き放ち、幸せにしてくれる。



そう、久しぶりに核心したの。



だって彼は、あの頃の私と同じ目をしていたんだもの。





『暫くは……休んで…千代…』







千代は、知らない。


そう、あの娘も知らない千代の秘密。











膝の上の彼女がぐずり私と目が合う。




『おはようございます、紫紅』


「あぁ、やっぱりアンタか。




俺を引きずり出したのは」












千代の鍵を持っているのはあの娘じゃない。
私。
だから、私は死ぬ事にした。



なにより、千代はカノンしか見ていなかったから。






私の腰にしがみつく紫紅。




『離して!』



「ケチんなよ、女神。俺に会いたかったんだろ?」



『違うわ。ただ千代を休ませる為よ』





千代の顔。
だけど彼は千代じゃない。



摺り抜けて離れた所に立つと、彼はベッドに寝そべり私を見る。
千代が、絶対に見せない表情で笑う。





「へー、またアイツうじうじしてんの?」

『混乱させてしまったのよ。』



「どっちも同じじゃん。俺は自由にして良いのか?」


『千代は今特務の司令をやっているの。それを勤めるなら自由に……千代を傷付けない程度なら』



「どれくらい?」


『傷を付けない程度』


起き上がり、頭を掻きながらため息を着く。



彼は、本当に千代に似ていない。似ているのは………







「女神、俺は千代じゃねぇからな」


『解ってます。紫紅。』




優しく嬉しそうに笑う顔だけ。
さぁ、教団はどう動く?

そして、神田ユウはどう動くの?
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